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Sustainability

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2020.12.1 (TUE)
18:00 @
【レポート】「SUSTAINABLE CREATIVITY」実践編  -脱炭素社会へ。気候危機の現在と僕らがすべきこと-

「僕らはいかに創造性によって持続可能な社会をつくっていけるのか?本気で取り組む越領域のメンバーによるリサーチ・創発・共創を通じて、多様な小さな創造を生み、つなぎ、大きな社会変革を目指す」ことをテーマに、UNIVERSITY of CREATIVITYで開催されたゼミ「SUSTAINABLE CREATIVITY」実践編。

 

その第二回ゲストに国立環境研究所の江守正多さんをお招きし『脱炭素社会へ。気候危機の現在と僕らがすべきこと』というテーマでお話し頂いた。

地球温暖化は知っているが、欧米に比べて日本人は気候変動への関心が低いのはなぜなのか。江守さんはその理由として「負担意識」が挙げている。要するに、CO2排出を減らすためには、なにかを我慢しなければならないという意識があるということだが、そうではなく、気候変動対策をすることで生活の質が上がるというメッセージをもっと発信していかねばならない。石器時代が終わったように、石油の時代から次の時代へ変化を即していくために私たちに何ができるのか?江守さんの熱い講義の模様をお届けしたい。   

#sustainability  #脱炭素社会  #気候変動  #SDGs 

じゃあ負担意識を変えていきましょうと。気候変動対策というのは我慢じゃなくて、前向きな社会のアップデートです、と。「生活がよくなるんだからやりましょう」というメッセージを出していかなくちゃいけない


再エネのほうが化石燃料よりも安いよというふうになっちゃったら、あとは勝手に増えていく


ハーバード大学の研究で総人口の3.5%が非暴力的な行動を起こしたときに、革命をはじめ社会の大転換が起きたそうです

 

 



地球の気温は人間活動で上がっているという事実


 

江守:僕は気候変動の科学の、もともと気象学の分野で気候変動の予測のシミュレーションなどをしていたんですけれども。そういった分野の専門家で。最近はいろんな専門以外のところにも首を突っ込んで、言いたいことを言っています。


「地球の気温というのは本当に上がってるんですか?」と言われるんですが、上がっています。これは世界平均気温の変化というデータです。80年代、90年代と上がっていって、2000年入ってから「温暖化が止まったんじゃないか」とか言われましたがまた上がりました。長期的には上昇しています。これが人間活動による温室効果ガスでちょうど説明がつくような大きさであって他の原因というのは考えにくい。世界平均気温の上昇は人間活動が主な原因だというのが科学的には大体わかったんです。


江守:他にも太陽活動の影響だとかいろいろな議論があるんですけれども。300年前ぐらいに比較的寒い時期、小氷期では太陽活動が弱かったことがわかってますが、そのあと人間活動で上がったのはこれですから。人間活動のほうが勝っちゃうのがおわかりいただけると思います。




江守:もう一つ言うと、氷期(氷河期)、間氷期というのが10万年周期で地球は経験していまして、今の間氷期はあと5万年ぐらい続くと考えられています。普通に考えると5万年安定している間で、人間が上げてるのが今問題であるというのがおわかりいただけるかなと多います。

 ということで昔の気候がすごく変動していたのも全部わかった上で温暖化の話をしています。    

 


 大気中のCO2の濃度(下側のグラフ)は80万年前から氷期、間氷期に合わせてギザギザ上がったり下がったりしています。その幅を見ていただきたいんですが、180ppmから280ppmという幅が過去数十万年の大気中のCO2濃度の振れ幅なんです。それに対して、今410ppmを超えるところまで人間が増やしてしまっていると。

 人間活動が地球の気候において、一番支配的なドライバーになっているこういうことを称して、人新世(じんしんせい)とか人新世(ひとしんせい)とか言いますけれども。地球の歴史の中で、あるヒトという一つの生物種がはびこっている特異な地球種的な時代に、今われわれは突入しているんです。

 


今地球では何が起きているのか 


江守:じゃあ何が起きているか、異常気象が増えているんじゃないか。毎年のように記録的な豪雨災害が最近起こっている。最近は温暖化の分だけげたをはいているということなんですよね。夏に高気圧が居座って高温になると、昔と比べて温暖化で気温が上がっている分が上乗せされるので記録的な高温になってしまう。気温が上がると水蒸気が増えますので。昔と同じような低気圧が来ても記録的な大雨になってしまうと。

 



江守:これは日本の大雨の日数の年々の変動なんですけれども。緑のグラフを見ると昔から大雨が多い年と少ない年というのがランダムに来ています。だけど100年通してみると最近のほうが増えているというのが赤い線です。


江守:それから何が起きるかというと、海面上昇ですよね。台風が強く発達しやすくなりますし、熱波で健康被害、熱中症などが増えます。乾燥地域の発展途上国で、干ばつが来るとほんとに食糧危機になる、水危機になる、収入が無くなる。それが難民を生んだり、紛争の引き金になったりする。実際にシリアの内戦というのは、記録的な干ばつによる食糧不足が要因としてあったことが指摘されています。それから、海の生態系、陸の生態系の破壊です。

 


江守:一方、気候変動に合わせて、防災を強化とか農業や社会の方が備えていきましょうということは起きている。品種改良して高温耐性米を作ったり、小中学校の教室に一斉にエアコンを設置するのも適応なわけです。国会で2年前に適応法もできまして。各自治体や事業者に計画的に備えてもらっている。でも適応は大事ですが対症療法なので、そのうち手当てが追い付かなくなったり、なんらかの限界が来るので温暖化を止めなくちゃいけないわけです。

 


いつかティッピングという限界を超えてしまう



江守:なんらかの限界ということを考える時に、ティッピングという話をご紹介したいと思うんですけれども。このバケツにゆっくりと水を入れていくと、あるところを超えたところでひっくり返るわけです。あるシステムの臨界点を超えると急激で不可逆な変化が起きる。これと同じような変化が地球の中でいろいろ起きています。



江守:一つはグリーンランドの氷が今溶け始めてるんですけれども。ある臨界点を超えると、それ以上温度が上がらなくてもあとは全部溶け続けるスイッチが入っちゃう。それからアマゾンの熱帯雨林が枯れるのが止まらなくなるとか。

 しかもこれ矢印が書いてあるのは、それらが連鎖する。グリーンランドの氷が溶けると淡水が海に流れ込んで海流を変えてしまって、熱帯とか南半球まで影響を及ぼすとか。その最初の引き金を引いてしまうと、あと4℃ぐらいまで上がるのをもう人間にはどうしようもなくなる『Hot House Earth(温室地球)』という説もあります。

 CNNが今年(2020年)の8月に「グリーンランドがpoint of no returnを超えたよ」と報じました。後に研究者に否定されたのでセーフだったんですけれども。そういうのを繰り返していくうちに、ほんとに超えちゃったよというのが、近いうちに来てもおかしくない。我々はそういう時代に今住んでいます。

 

近藤:この10年以内に来ちゃう可能性は?

 

江守:グリーンランドはよく1.5℃くらいで起きうるということを言われるんですけれども。10年だとまだ1.5℃にはいかない。ただ、わかりません。可能性がゼロではないです。

 

 



限界を超えないために「2050年ネットゼロ」

 

江守:じゃあどうしていったらいいか。パリ協定が2015年に合意されて「長期目標として世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追及する」ことが合意されたわけです。下のグラフがシミュレーション結果で。将来対策をしないと世界平均気温が4℃ぐらい、対策がうまくいくと2℃とか1.5℃で止まるよという二つの線が書いてあります。



江守:今度は気温のシミュレーションの様子というのを二つ並べてごらんいただきましょう。1950年から始まり、2020年を越えてきて世界全体がだんだん赤くなっていっている。これが2050、60年代になっていくとどんどんはっきりと違いが開いていきます。2100年になりますと、対策なしのほうは世界全体平均して4℃ぐらい上がっているわけですけど、特に北半球の陸上の高緯度は、平均よりももっと上がるので、5~8℃という上昇が予測されます。対策ありの方は2050年ぐらいの全体的な赤さで踏みとどまっている。こっちがパリ協定の長期目標です。



江守:そのためにどれぐらい対策をしたらいいかというと、パリ協定には「今世紀後半に人為的な温室効果ガスの排出と吸収源による除去の均衡を達成する」と書いてある。つまり、人間活動による排出と吸収をバランスさせる。これが「実質ゼロ」とか「ネットゼロ」とか「正味ゼロ」とか言われているわけなんです。



江守:2018年にIPCC(気候変動に関する政府間パネル)で、1.5℃で止めるんだったら、2050年前後にCO2の排出量を実質ゼロにする必要があるよということが言われたわけです。しかも1.5℃を超えて2℃まで上がると、相当いろんな影響が深刻化するよと書かれたものですから、国際社会はそれを境に努力目標ではなくぜひ1.5℃を目指すべきだという感じになってきました。それで「2050年ネットゼロ」ということをいろんな国が言い出すようになるわけです。

 

 あとこれはグレタさんの話ですけれども。2019年9月の20日と27日にかけて、世界でマーチ(Fridays For Future)があって世界全体を合計すると700万人ぐらいが参加したすごいムーブメントになったわけです。日本でも、これ3月の渋谷の時ですけれども。

 

※この会場にもFridays For Futureの日本でやったメンバーが参加をしていたことがわかり話題は一時そちらに

 

 パリ協定に従いましょう、IPCCに、科学に従って1.5℃を目指そうと彼らは言っていて。でも大人がこれを本気で目指しているようには全然見えない、長く生きる彼らからすると「何してくれるんだ」という話になっているわけです。

 



どうやってCO2を減らしていくか?



江守:今年はコロナの対策でいろんな経済の抑制が行われて、世界のCO2排出量がピーク時で17%減ったと見積もられています。今年を通じてはまだわからないんですが、7%ぐらいかなと言われています。一番多かった要因が、車が少なくなったことです。これが毎年7%ずつ減っていくと、1.5℃を目指せるような削減ペースなわけです。

 

 でも今年みたいに経済を止めたから落ちました、じゃあ来年ももっとというふうにはなりません。さらに今グリーンリカバリー(※新型コロナ感染対策で後退した経済を環境への投資で浮上させようという動き)が言われるようになりましたけれども。経済を戻しながら、皆さんの生活を立て直しながらCO2の排出は願わくば今年みたいなペースで減らしていくことができるかという話をみんなしているわけです。




江守:それで、CO2排出をゼロにしましょうということで、まず無駄なエネルギーを使わない省エネ、それから太陽、風力といった再エネ。原子力はいろいろな課題があるのですが、一応一般論としてはここに入ってきます。

 

 化石燃料を燃やしても、出てきたCO2を地中に埋めちゃえばいいじゃないかというCCSという話があって、技術的には今もうできるんですがコストがかかる。あるいはCO2を使って燃料や材料を作ったりするユーティライゼーション、CCU。それから大気中のCO2を吸収するのに植林をいっぱいするとか、農地の土壌に蓄えるとか、植物で吸収してCCSで地中に埋めてしまうとかいろんなことが考えられてますけれども、ほんとにやるかどうかは別問題です。



江守:これ徹底的にやれば原理的には排出ゼロになるということはわかってるわけです。しかしこのスケールからいうと、今、世界のエネルギーというのはまだ8割ぐらい化石燃料で作られている。特に人口が増えている国、これから工業化が進む発展途上国とかでどんどん車や発電所や工場が増えていくわけです。

石炭火力(発電所)や車、今すでにあるインフラを標準的な寿命まで動かすだけで、1.5℃を超えるCO2を出してしまうことが見積もられています。なので、ほんとにもう石炭火力とかではだめなんですよ。余地がない。本当にそれをわかっててまだ建てるんですかという話に実はなっています。

 


気候変動対策で、私たちの生活が良くなる

 

江守:僕の「なぜ無関心なのか」という記事を読んでくださった方もいらっしゃったみたいでその話をしたいと思うんですけれども。

なぜ日本人は気候変動問題に無関心なのか?(江守正多)

 

 なぜ世の中は無関心なのかと思った時に、みんな気候変動について知らないからだと。じゃあどうするかというと、知ってもらう。それから自分にも影響があることを知ってもらう。「こんなに怖いんですよ、あなた自身が」と一生懸命言うのが今までよくある考え方だったわけです。でもほんとにそれでいいのかなというのが、今回考えたことです。

 

 じゃあ無関心の理由はなにかというと、僕は「負担意識」と呼んでいますが、負担意識があるせいじゃないかと。「エアコンをつけたいんだけど我慢して」とかそういうイメージですよね。

 

 「あなたにとって、気候変動対策はどのようなものですか?」という質問に世界全体だと「生活の質を高める」と答える人が3分の2ぐらいいるのに、日本では「生活の質を脅かす」と答える人が3分の2ぐらいいるんです。

 

 日本では「温暖化対策しましょう」というと、「我慢しなくちゃいけないんだな」とネガティブ感が先に立つ。関心がある人にも負担意識というのはあります。「私はこんなに我慢してるんだから、あなたも我慢してください」って。そうすると言われた人は嫌になってしまうというか、余計耳を閉ざしてしまう。

 

 じゃあ負担意識を変えていきましょうと。気候変動対策というのは我慢じゃなくて、前向きな社会のアップデートですと。「生活がよくなるんだからやりましょう」というメッセージ、ナラティブを出していかなくちゃいけないんじゃないか。


江守:例えば『もしも世界全体が脱炭素した暁には、どういう地政学的な損得が生まれますか』ということを計算した人がいます。日本は毎年20兆円前後外国から化石燃料を買ってきているので、そのお金が全部国内で回るようになる。そんなエネルギーの大転換が起こると社会の秩序が不安定になったりするけど、治安もいいのでその点も大丈夫。日本は脱炭素勝ち組ですよと。そういう言い方をたまにしています。

 


「3.5%」が動き出せば世界が変わる

 

江守:前向きなイメージというのを出していきたい、でもみんながみんなそれに刺さらなくていいと思っているんです。本当にシステムを変えようとする人たちが必要な数出てくるということが、本質なんじゃないかと。

 

 これが「3.5%」。ハーバード大学の研究で総人口の3.5%が非暴力的な行動を起こしたときに、革命をはじめ社会の大転換が起きたそうです

 

でも3.5%の人がデモをしてたら、相当な景色になるはずなんです。例えば去年の9月のFridays Global Strikeの時のドイツの参加者というのは150万人ぐらい、人口の2%とかそれぐらいなんです。


江守:社会の大転換について、英語で言うとtransformation。僕はこの言葉は人々の世界観の変化を伴うようなプロセスだととらえています。産業革命で常識が変わったように人々の常識が変わる。昔は植民地主義とか、奴隷制とかが当たり前だった時代があったわけです。今から見ると信じられない。でももしかしたらそれと同じように今先進国でわれわれがたくさんCO2を出していて、途上国の人たちや将来世代を苦しめることになる。後の世から見ると、とても許されないことをわれわれはしているのかもしれない。なので変えましょうということです。

 トランスフォーメーションの論文を見ると、計画して管理して過去の延長でやっていてもそんなことは起きないよと。それこそクリエイティビティの世界、今まで思いつかなかったことをやっていろいろなことが起こる中で、気がつくと常識が変わってるようなそういう世界なんだと思います。


江守:自分が見てきた常識の変化で一番わかりやすいのが分煙です。20~30年前はどこでもタバコを吸っている人がいましたけれども。今は信じられないわけですよね。それが起こる過程でいくつか大事なことがある。

 

 まず科学、こ受動喫煙が健康被害をもたらすことを証明したお医者さんが出てきた。そこに配慮する人が喫煙者の中にも出てきて、健康増進法ができて、経済が動いた。むしろ分煙のほうがお客さんが入るようになり、気がつくと分煙や禁煙が当たり前になり常識が変わっていった。

 

 気候変動も割とよく似ていまして。今は特に経済が動いていると言われています。2030年にはガソリンオンリーの車は売りません、再生可能エネルギーは太陽、風力が化石燃料よりも安いのでどんどん増えています、という国が増えてきました。ESG投資でこれからはCO2排出を減らすような企業が評価されるというようなことも起こっている。

 

 最終的に気候変動の場合、技術がもう一段階よくなって。コストを考えても、再エネのほうが化石燃料よりも安いよというふうになっちゃったら、あとは勝手に増えていく。で、常識が変化するよと。

 


江守:日本は2019年の6月の段階で「2050年までに80%」「今世紀後半できるだけ早期に脱炭素」と言っていて。そのために「ビジネス主導の非連続なイノベーションを通じた環境と成長の好循環」というのを言っている。「環境と成長の好循環」を言ったのは良かった。環境をよくする企業はこれから成長する、そういう言い方が出てきたということですよね。そして、先日菅総理が日本も2050年脱炭素ということを言いました。

 

 日本は再エネのポテンシャルがすごくあると言われています。一番左側のグラフが現在の日本全体の電力需要ですけれども。現在の経済性でそれの倍ぐらいの再エネというのが日本で開発できると言われています。

 

 風力が実は8割で、日本はこのポテンシャルをこれから開放するんですが課題もありまして。コストの低下ですね。それから再エネ建てたはいいけれども、電線につながせてくれないとか系統接続の問題というのがあって。それから調整力の確保。余った電気は水素でためておくとかですね。あとはメガソーラーの時のような乱開発の是正。今は環境アセスメントが義務化されたり、是正が始まっています。

 


「脱炭素」ではなく「卒炭素」



江守:人類は「化石燃料文明」を今世紀中に卒業しようとしている、卒業なんじゃないかなと思うわけです。脱炭素ではなく「卒炭素」なんじゃないかなと。卒業で、自然なことだと。人類は奴隷制も帝国主義も卒業してきたんだから、化石燃料文明もそろそろ卒業ですよという気持ちでどうでしょうということなんです。

 

 少し前までは化石燃料の問題は枯渇の心配だったわけですが、パリ協定の文脈では余っているのに使うのをやめる話をしています。

 

 もう1.5℃で温暖化を止めるためには、もう使わないで埋めておきますと。そんなことが起きるんですかという意見には「石器時代が終わったのは、石が無くなったからではない」という言葉がありまして。じゃあなんで終わったんですかというと、青銅器ができたり鉄器ができたりしたからというわけです。

 

 化石燃料よりもっといいエネルギーを人類が手に入れてしまったら、あとは喜んで化石燃料文明を卒業すると。それを待っているだけだといつ卒業できるかわからないので、これを30年で卒業するためには、3.5%の人が声を上げて加速しなくちゃいけないと。そういうふうに考えています。

 


2050年脱炭素は本当の出口か?



江守:そこでわたしたちにできることはなんですかといったときに、コロナの場合はマスクしたり、消毒したりが今大事なんだけど、いつまでこれをやったらいいかというと、出口はワクチンとか治療薬ができてみんなに行き渡ったとき。

 

 気候危機の場合出口は脱炭素で。システムが変わってしまえば関心がない人がいくら電気を使ってもCO2は出なくなるんだから、早くその状態をつくっちゃいましょうということで。その状態をつくる応援をしたり、それを自分なりに調べて発信したりする。これから関心がある人っていうのはこっちをやってくださいと。

 

 ですが、ちょっと考えが最近変わってきたのがこの部分。ほんとにそれが最終的な出口かと。例えば今回の新型コロナウイルスが抑え込めたとしても、また次のCOVID(コビット)23とか25とか次のが出てくる。

 

 その背景には人間活動が生態系にどんどん侵食していてウイルスが社会に入る確率がどんどん上がっていっていることがあります。いったんウイルスが入るとグローバル経済ですぐに世界に広がるし、社会に格差があるから、その健康の被害にしても経済対策の被害にしても、弱い人から深刻な形で受けて格差が再生産されていく。国際協調も不完全なので、ワクチンの取り合いや責任のなすりつけ合いになる。この状況が変わらないと、次のコロナが来たときに同じだよと言われているわけです。

 

 気候の問題も似たようなことがやっぱり背景にあって。エネルギーの作り方を入れ替えたらそれでいいんですかと。今日本では、菅総理が2050年に脱炭素と言ったことによって、技術的に目指すしかないフェーズに入ったと思うので。じゃあどうやるかという議論を本格化させるにあたって、こういうより大きな話を本格的に始めていくタイミングなのかなと自分でも最近思ったと、そういう話であります。以上でありました。どうもありがとうございました。

 


 

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