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New Economy

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2021.3.3 (WED)
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【レポート】『【Cheer! WOMEN CHANGEMAKERS】セッション1「Social-bias と 創造性」』

UoCは「女性の創造性」を研究テーマの一つに掲げ、さまざまな女性の社会課題をポジティブに解消し、女性一人一人がエンパワメントされる社会を模索している。

このセッションでは、多様なキャリアのゲストとともに「Social-bias と 創造性」を考えていく。バイアスとは、人が経験や習慣、周囲の環境によって身に着けた、考え方の偏りのこと。女性の社会参画を阻む障壁と、バイアスを紐解くことで、個人の生き方のみならず、今後の社会や組織のあるべき姿を多角的に構想する。


Facilitator:松本京子(UoC リサーチャー)


#創造性  #女性 

「ジェンダー・ディスパリティをポリティカルコレクトネスがかき消してしまう」(星)


「育児よりも仕事の方が楽しいと思っても、罪悪感を持つ必要はないんです」(篠田)


「バイアスを意識して、乗り越えることによって、創造性が見えてくる」(星)





バイアスが実現してしまう「ステレオタイプ・スレット」


松本:まずは「幼少期から学生時代に存在するSocial-bias」から考えていきたいと思います。UoCの研究チームメンバーの経験をもとに、考えられるソーシャルバイアスを挙げてみました。





松本:こういった実例を見ていただいた上で、カタリストのみなさんのお話も伺いたいと思います。


大山:私は高校まで男女差を感じる場面にあまり遭遇しなかったんですが、大学の経済学部に進学すると女性が1割しかいない環境に一変しました。医学部を含む理工系ではさらに女性が少なく、それは現在でも改善されていない世界共通の構造的な問題です。「理系に進むとお嫁に行きにくいよね」等といったバイアスが家庭環境から刷り込まれているのではないでしょうか。

経団連は、2015年から、小、中学生向けに、理系の知識やスキルを活かして様々な分野で活躍する女性をロールモデルとして紹介する取り組み等を通して、STEM分野での女性人材不足の解消に努めています。


篠田:はっきりソーシャルバイアスを意識したのは就職活動です。男女雇用機会均等法が施行されてまだ5年くらいのタイミングだったので、私が総合職を志望することに対して、周りの大人も同級生も「なんで?」という感じでした。自分の選択が女性の道として認められていない、わざわざ説明しないといけないという現実に直面しました。このことは、自分の世界観の形成に大きな影響を与えました。


鈴木:私の場合、中、高が男子校で、大学も体育会で男が100パーセント。大蔵省では同期は17人のうち16人が男でしたので、男だらけの社会にいた人間です。

幼少期はイギリスのロンドンで暮らしていまして、現地の学校に行っていました。イギリスはかなり人種がミックスをされている社会で、人種のダイバーシティと男女のダイバーシティでは、人種の方が個人的には大きなインパクトがありました。

一方で、アメリカでは女性よりも黒人の大統領が誕生する方が先だったので、社会的にどちらのバイアスの影響が大きいのかは議論の余地があると思います。

中村:私には3つ上の姉がいまして、とても優秀だったんです。姉が高校受験のときに県で1番の進学校を受けることにしたんですが、同級生の男の子のお母さんから「お宅の娘さん、そこを受けなくてもいいじゃない」と電話があったんですね。要は、男の子は将来があるんだから譲ってよ、ということで(笑)。母はプンプン怒ってましたけど、小学6年生だった私は「そういうものなのかな」と思っていましたね。

その頃のことを思い返すと、小学校の担任は女性の先生が3年間、男性が3年間でちょうど半々でしたが、女性の校長先生はいませんでした。中学でも高校でも、ついぞ女性の校長先生に出会うことはありませんでした。

今でも、小学校の教員の6割は女性なのに、女性の校長先生は2割しかいないんですね。現場には女性が多くて、トップは男性が占めているという、とても日本らしい組織が教育の現実なんです。

学校は子どもが最初に参加する組織ですよね。入学式や卒業式で大事なお話をしてくださるのは男性の先生、普段の相談にのってくれるのは女性の先生という図式は、知らない間にバイアスになっているんだなと感じています。


星:私は、中学校までは地元の公立に通っていまして、ジェンダーバランスは半々ぐらいでした。高校は3分の2が女性っていう学校だったんです。鈴木議員とまったく逆ですね(笑)。

大学では哲学の道に進みました。先ほど大山さんから、学問の分野ごとにバイアスがかかっているというお話がありましたが、哲学は文系だから女性の方が多いかと思いきや、95パーセントが男性なんですね。

テキサスの大学だったので、鈴木さんがおっしゃったような人種的な差別も受けた経験があります。

仮説ではありますが、「男性は理系、女性は文系」というようなバイアスが生まれたのは最近だと思います。昔は学問や知識が富に直結していて、権威の象徴だったんです。現代では、重工業に関わる理系の方が富との繋がりが強くなったわけです。そういった権威性とジェンダーが関係しているんだと思います。

ソーシャルバイアスについて社会心理学の視点から言うと、「ステレオタイプ・スレット」(固定概念に対する脅威)と言う現象があるんです。ネガティブなバイアスを内面化することによって、自分がそのバイアスを実現させてしまうんですね。例えば「理系の勉強は男性のもの」と思いながら、女性がテストを受けると、実際に点数が下がってしまう。こういった現象が相当蓄積された研究結果があるんです。これはジェンダーに限ったことのではなく、人種や他のバイアスにも当てはまります。

こういった現象があるということを知っていただくことで、バイアスを乗り越えやすくなるかと思います。




ポリティカル・コレクトネスの功罪


松本:中村さんのお子さんは学生だそうですが、現在の学校教育の現場は変化していますか?


中村:もう10年以上前の話ですが、子どもが小学校入った時に最初に驚いたのは、先生が生徒のことを「さん」付けで呼ぶことです。男の子であれ、女の子であれ、「ちゃん」でも「くん」でもなく「さん」で呼ぶんです。出席番号も、私のときは男子が1番からで、女子は24番目くらいからだったのが、今は男女混合であいうえお順になっています。そういう点では、学校教育の現場では男女共同参画という意識が比較的浸透してきているのかなと思います。

ジェンダーギャップ指数に関しても、教育に関しては相対的に悪くないので。学校教育以上に、一般社会に出たときのほうがギャップが大きいのかなと感じています。


松本:大山さんは最近の若者を見てどうお感じになりますか?


大山:だいぶ変わってきているなという印象です。若手や学生と話していると、そもそも性別で役割を分担する意識がかなり減ってきていますよね。先ほど鈴木先生がお話しされていたように、性別以上にそれぞれの「個性」により着目して、自分らしく人生を歩みたい、という思いのほうが強まっている雰囲気を感じます。


鈴木:私も青年局長やっていた際に、色々な学生さんと話しました。そのうちの何人かの方が、「性は選ぶものだ」というような話をしていて、そこに衝撃を受けた記憶があります。


星:日本の高校生以下の生徒の10パーセントくらいがLGBTQのカテゴリに入るという調査もありますからね。オープンにそういった話ができるようになってきているという意味では、前進しているのは間違いないと私も実感しています。

ただ、アメリカには「ポリティカル・コレクトネス」というフレーズがあるんです。直訳すると「政治的な正しさ」という意味ですね。社会がだんだん進んでいく中で、ジェンダー・バイアスやレイシャル・バイアス、年齢のエイジ・バイアスなど、良くないことだという認識が広まっていく。そういったものに抵触せずにコミュニケーションを取るにはどうすればいいかということを学んで、周りと上手くやっていくわけです。

これ自体はいいことなんですが、その反面実際の社会に存在するジェンダー・ディスパリティ、つまり「能力的には男性も女性も変わりないような分野なのに、女性は全体の5パーセントしかいないじゃないか」というような現実を、ポリティカル・コレクトネスがかき消してしまうということが言われているんです。これは十分に気をつけなければいけないと思います。


まだまだ正解がみつからない出産・育児と仕事の向き合い方


松本:続いて「会社~結婚・出産で経験するソーシャルバイアス」を考えたいと思います。こちらもUoCのメンバーが事例を集めました。





大山:これはまさに、私が経団連でダイバーシティ政策を担当している中で、日々悩みながら進めている課題です。とりわけ、意思決定過程における女性の視点の欠如、言い換えれば「ジェンダーレンズ」がキーになる課題だと思います。

その要因を考えてみると、これまでは「オールド・ボーイズ・クラブ」的な、同質的な考え方の中年男性だけで物事を今まで決めてきたこと。今回のオリパラを巡る一連の問題にも、その根底にはこのような問題があったと思います。

今、女性や若者も含め多様なプレーヤーがおり、そのバックグランドも考え方も視点も趣味趣向も違う中で、もう同質的な仲間内だけで物事を考えて決めるという時代はもう終わらせなければいけない。企業は、多様性や創造性を強みにしていかなければ成長できない時代を迎えていると思います。

一方で、女性自身も考えることはあると思います。例えば、、リーダーシップを取るのは、必ずしも「強い女性」でなくても良いはずですよね。これも一種のバイアスだと思うんです。しなやかな

リーダーシップ・スタイルもあるはず。個々人が自分らしいリーダーシップを考え行動すれば、世界は変わっていくと思います。


篠田:自分の中にバイアスがあったことに気づいた経験をお話しします。2人目の子どもを妊娠したとき、職場の状況的に私が抜けると迷惑をかけてしまうと思ったんです。外資系の会社で、上司は女性で海外の方だったんですが、「妊娠するのにベストなタイミングなんてないんだから。今じゃなければよかったなんて考えるんじゃない」と言ってくれて。すごく助かりました。

保育園に預けるタイミングで別の男性の先輩から「子どもを預けてまで仕事するんだから、面白い仕事したいよな」と言ってくれました。まさに私の本心を言葉にしてくれて。

世の中は「女性は子どもを産むと赤ん坊への愛情が溢れ出て、仕事より育児を優先したくなるだろう」というバイアスがありますが、仕事の方が楽なんですよ。早く職場に戻りたい女性はたくさんいると思います。

子どもに愛情を持っていることと、乳幼児のお世話をする作業は別のものですから。育児よりも仕事の方が楽しいと思っても、罪悪感を持つ必要はないんです。

まだまだ世の中全体の経験値が少ないせいもあって、ステレオタイプが強い領域です。仕事と育児の向き合い方の多様性が広まっていくといいなと思っています。


中村:私が子どもを産んだのは20年前で、女性社員自体も少なかったですし、出産して子育てしている社員が全然いませんでした。前例もデータもほとんどないので、私も上司もどうすればいいか分からなかったですね。「身体第一で」という上司もいれば、「妊娠しているからといって特別扱いしちゃけない」と逆に厳しくする上司もいて(笑)。全員男性上司でしたけど、みなさん戸惑っていました。

最近はさまざまなケースが出てきたことで選択肢は増えましたけど、出産・育児と仕事のベストというのはまだわかりませんよね。一人一人どういうふうに仕事をしていきたいか、長期的にどういうキャリアを積んでいきたいかということを、個別対応していくしかないんだろうなと思います。


鈴木:コロナ禍以前は、アメリカの東海岸やロンドンなどで機関投資家と頻繁にディスカッションしていましたが、多くのところで「大半の日本企業のボードメンバーは、60際以上、男性、日本人、転職経験なしで占められている」との指摘を受けました。日本企業の多くは、ジェンダーに限らず、ダイバーシティが圧倒的に欠如していること、そのことが海外からの投資を鈍らせていることを痛感しました。NGOやNPO、スタートアップなどは自然なジェンダーバランスのところも多いので、企業の人事の仕組みや終身雇用の慣行を、見直すことは可能ですし必要だと思います。

企業の収益を考えた場合、ダイバーシティは変化への強さと相関しますし、優秀な人材はバックグラウンドに関わらず採用したいはずです。

一方で、真のダイバーシティを考えたとき、ジェンダーに意識が行き過ぎてしまうことについてはちょっとどうなのかという感じがしているのも正直なところです。

例えば国連機関ではトップが女性だったらナンバー2は必ず男性になる慣行があります。逆にトップが男性ならナンバー2は女性に、と枠が決まっているんです。その結果として、本当に才能があるのに、事実上はじかれてしまっている人がいるという場面を、外務副大臣のときに見てきました。こうした経験から、最近言われる「女性枠」のような考え方については、みんなのマインドを変えるために、象徴的に一度枠を設定するということは必要かもしれませんが、本当にそれが正しいことなのだろうかとも思います。



星:「アファーマティブ・アクション」という言葉がありますよね。今まで歴史的に恒常的な不利益を被ってきた方々に焦点を当て直して、そちらを有利にすることによって機会の公平性を保つっていう考え方です。私はカリフォルニア在住なんですが、そのアファーマティブ・アクションを禁止した州の1つなんですね。まさに先ほど鈴木さんがおっしゃった通り、歴史的に生じてきた不公平を是正するために、一時的な措置を講じるのはいいけれども、それが終わったらまたエクイティ(公平)に戻らなきゃいけないと思います。

ダイバーシティという言葉が一人歩きとも思うんですが、例えば職場にさまざまな人種、年齢、ジェンダー、ハンディキャップを持つ人にいてもらえるようにサポートするということですよね。

それと同時に、インクルージョン(包摂)も重要で、色々な人が同じ場所にいるとバイアスもあるから、みんなが気持ちよくそこにいて、生産性もあげられるようにトレーニングしていこうと。

少し前まではDiversity & InclusionでD&Iというコンセプトだったんですが、最近はこれにEquityも加わって、DE&Iと呼ぶようになりました。

今まで不都合があったとしたら、それを公平にいったん戻してあげないとダイバーシティもインクルージョンも意味がないよということです。DE&Iの三輪を動かしながらやっていかないといけないんだなと再認識しました。




第二次産業モデルの歪み


松本:最近はダイバーシティをアピールしない企業には就活生が集まらないなど、多様性を確保しないと経済的にもマイナスになり、人材確保も難しくなるという話も聞くようになりました。中村さんは取材される中でいかがお感じになっていますか?


中村:企業に関して言えば、ダイバーシティや平等ということが、成長力につながるのかどうかということを、経営者のみなさんが腹落ちしない限りは進まないですよね。「女性を入れれば収益は伸びるんですね?」と言われたことがあるんですが(笑)、どうやったら自分の会社がイノベーションを起こして成長していけるのか、それを考えるのが経営者の仕事なので。

だからまずは経営トップが仕組みを作っていく必要があると思うんです。若い人たちはそれを見て、会社と共に自分も成長できる企業を選びます。だから「昭和の会社だな」と思われたら就活生の選択肢から外れていきますよね。例えばこの1年間だと、テレワークの導入が遅れた会社を避けている大学生は多いです。


鈴木:長期の投資家の目線は、今の話に近いものがありますね。最近よくESG投資という言葉を聞くと思います。これはジェンダー・バイアスを解消することが目的というよりは、ダイバーシティを確保している経営層の方がイレギュラーな事態が起こったときに柔軟な対応ができるだろうから、長期の収益性を考えたときに合理的ということなんです。

社会的な意義も当然あるんですけど、それ以上に企業の場合は収益性をしっかり考える必要がありますよね。さっき腹落ちという話をされましたけれども、やっぱりそこに尽きると思いますし、先ほども言いましたが、終身雇用はそれに反する慣行でもあるので、そこをしっかり乗り越えていければ、色々なものが変わってくるんじゃないかなというふうに思います。



中村:今の男性中心の企業社会は、戦後の第2次産業を中心とした経済社会の中でつくられてきました。第2次産業は、基本的には工場生産モデルですよね。そうすると同じ体格、同じ体力の人たちが、同じように働ける均質性が求められるわけです。そこに身体の小さい女性がいて、妊娠出産で1年間抜けるということになると、工場はうまく回らないということになります。

しかし、世界的に第2次産業から第3次産業に完全に移行していますよね。第3次産業の世界で、第2次産業モデルのまま組織を作っていると、すごく不具合が発生するわけです。それをわかっているトップはもうすでに変えていますね。適応できないと、だんだん消えていく運命なのかなというふうに感じています。


鈴木:合理的なエビデンスベースの判断をできるかどうかが大きいですよね。今おっしゃったように、アイデア創出が中心の産業構造になるのであれば、例えば障害者の方の方が優れているところもあったりしますので。


UoCのMANDALAより配信



創造性は不都合から生まれる


松本:非常に話が盛り上がっているんですが、お時間がなくなってきてまして、最後にぜひ一言ずついただきたいなと思っています。

人生の中で直面するさまざまなソーシャルバイアスを乗り越えた上で、女性がイキイキと創造性を発揮できる未来をつくるためには、どんなことが必要だと思われますか?


大山:ぜひ鈴木先生お願いしたいんですが、共稼ぎ世帯が主流になって久しい中で、例えば配偶者控除ですとか、専業主婦世帯をモデルケースにした社会制度はだいぶ時代遅れになってきていると思います。社会保障制度は、望ましい社会の在り方にもつながるものであり、時代や社会実態を踏まえ見直す時期にきてるのかなと。ぜひご検討いただきたいと思っています。同時に、女性の側も、自分の可能性に自分自身で枠を作り、バイアスをかけてるところもあると思うんです。ですので、そこをもっと貪欲に自由に考え、いろいろなことにチャレンジしていただきたいですし、もちろん男性も若者も様々な人たちが「自分らしさ」を大切に取り組み、企業や社会がそれらを力に変えていくことによって、ダイバーシティ&インクルージョンを通じた「クリエイティビティ」の発揮につながっていくものと思います。


鈴木:大山さんとのお話とも重なる部分はありますが、いろんな方がチャンスを得られるようにするには、それにふさわしいフレキシブルな労働法制というか、そういったことに変えていかなきゃいけません。終身雇用を変えるには、制度的には、新卒一括採用の部分と解雇のフレキシビリティがカギになります。併せて、社会のパーセプションも変わっていかなければならない。

個の部分では、セルフバイアスという問題もあると思うんです。私自身、昔海外で嫌な思いをしたときに思わず人種差別的な扱いを受けたと思ってしまったことがありました。でも「日本にも嫌なやつはいるよな」という当たり前の事を思い出した瞬間、それは人種の問題ではなくなる。実は人種差別だと思っていたこと自体が自分のバイアスだった。ジェンダーバイアスの問題についても、制度的な解決策は政治の責任としてとても大事ですが、同時に、もしかしたら同じようにセルフバイアスによっている場面もあるかもしれないとも思います。


中村:今日は創造性がテーマの1つですが、創造性やイノベーションは不都合から生まれることが多いと思うんです。

今の世の中は男性目線でつくられたものがほとんどなわけですよね。例えば、シートベルトは男性の体型に合わせてるから、女性のほうが事故のときに重傷化しやすいと言われています。

それを改善できるのは、ジェンダーに限らず、今マイノリティと呼ばれている人たちなんですよ。そういう人たちにとって、創造性を発揮するチャンスなんですね。なにか自分の中で今感じているモヤモヤとか、生きにくさとか、そういうものがあったら、それをちょっと言葉にして発信してみれば、新しいクリエイティビティを生み出す1つのチカラになるのかなというふうに思います。


篠田:間違えちゃいけないなと思っているのは、バイアスそのものが駄目っていうのもちょっと乱暴だと思うんです。人間である以上、バイアスを持つということは、自分と周りの環境の関係を素早く判断するための1つの能力であるので。

自分が持っているバイアスに自覚的になり、それがどういう影響を及ぼすのかを知る。そして、その影響を小さくしたり、防ぐ努力をすることが重要なんだと思います。


星:フランク・バーロンという研究者によると、創造性が高い人は好奇心のようなポジティブなメンタリティと同じくらいネガティブな部分も突出しているんです。つまり、心の中になんか矛盾があってそれを解決しようとするときに、人間っていうのは創造性を発揮できるんですね。

先ほど篠田さんがおっしゃったように、バイアス自体は悪いことではない。それを意識して、乗り越えることによって、創造性が見えてくるんだと思います。

また、ポール・トーランスの『Importance of falling in love with something』という論文によると、自分の未来像に恋できる人はクリエイティブになれるんだそうです。特に若い子たちが、自分の将来に恋できるような社会にしていきたいと思います。