2022.11.1

創造性ゼミ 2022

【創造性ゼミ2022を終えて】Know difference Love difference

UNIVERSITY of CREATIVITYは、14の「創造性ゼミ2022」を開講しました。
それぞれのゼミが挑んだテーマは、創造性との関係を比較的容易に想像できるものもあれば、直感的には連想しにくいものまで幅広く、そこに集ったゼミ生たちの個性がお互いに刺激し合いながら、新たな価値が同時多発的に生まれる場となりました。
UoCプレスチームは、この学びの港を編み上げた各ゼミのプログラムディレクターにインタビューを行い、ゼミ生がどのような気付きを得ていたか、そしてどのような変化があったのか、深掘りを試みました。

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DE&Iが私たちのクリエイティビティを開放する



 
私たち誰しもがマイノリティ


──このゼミはダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(多様性を公正に包摂する。以下DE&I)というテーマに取り組んでいますが、ここにフォーカスした理由を改めて教えてください。
 
いまESG投資やSDGs経営という言葉が盛んに用いられていますが、企業において地球温暖化対策に取り組むことと同じようにDE&Iも経営において必須課題になっています。グローバル企業では、DE&Iが企業のパーパスになっているケースが増えています

わたしは、DE&Iは一人ひとりがクリエイティビティを発揮して、イノベーションを起こすために大切な土壌だと考えています。DE&Iは目的ではなく、私たち誰しもが持つクリエイティビティを発揮するための手段なのではないかと考えています。そこで、DE&Iとクリエイティビティをテーマに研究を進めることにしました。
 
──多くの日本企業は海外企業と比べて表面的な違いが分かりづらく、それゆえに多様性について意識しづらい環境のように思います。
 
”ダイバーシティ”という言葉が、まだ抽象度が高いかもしれません。ダイバーシティには「表層的ダイバーシティ」と「深層的ダイバーシティ」があると言われています。表層的ダイバーシティとは国籍や年齢、性別など、生まれ持って持っている要素のことです。深層的ダイバーシティとは教育や職歴、性的趣向や価値観など、その人の内面にある要素、後天的に備わる要素のことです。ダイバーシティは目で見える違いだけではないんですよね。
私たちは、一人ひとりが違う要素で構成されていて、誰しもがマイノリティであるということに気がつきます。「アンコンシャス・バイアス」という言葉を最近耳にする方もいるかと思います。男性だから、女性だから、高齢だから、若年だから、こうなんではないかという無意識の固定概念のことを言います。アンコンシャス・バイアスは、誰しもが持っています。これは相手に対してだけではなく、自分に対しても持っていて、例えば男性の中には「男は常に強くあるべきだ」という固定概念によって苦しんでいる人がいるかもしれません。自分自身が持つアンコンシャス・バイアスに気づかず、自分自身を縛っている人も多いと思います。私たちは、一人ひとりが違う要素で構成されていて、誰しもがマイノリティであるということに気がつき、自分に対しても他人に対しても持っている「こうあるべき」という固定概念を捨てることで、誰しもがもっと自由になり、よりクリエイティビティを発揮できるような世界をつくれるんじゃないかと思っています。
 

コンテンツづくりにおいても、DE&Iはすでに必須になりつつある

 
──ゼミはどのように進めていったのでしょうか。
 
クリエイティブにDE&Iに取り組んでいる国内外の企業の事例研究を中心におこないました。実際に取り組んでいる企業の方にインタビューにも行きました。
たとえば、世界的に展開しているコンテンツ・プラットフォーム企業の事例なんですが、「リスペクトトレーニング」というものを全社員と協働する企業に、必須で課しているんです。内容としてはハラスメントにまつわるトレーニングなんですが、「リスペクトトレーニング」という名前にすることで、ポジティブなイメージが生まれて、社員や関係者たちが能動的にトレーニングを受けているのが面白いなと。DE&Iのトレーニングを社員に対して実施している企業としか仕事をしないと明言しているグローバル企業が増えているので、ビジネスにおいてDE&Iは必須になりつつあるのを実感しています。
 
それから、障がいのある方の働きやすさを考えるという観点から、発達障がいをお持ちの方にも期間限定でゼミに参加していただきました。その方が挙げてくださった障がい者雇用が進んでいる企業の事例は、とても参考になる施策でした。長時間働くことのできない人が、限られた時間の中で能力を発揮できるようなワークスタイルが考えられていたり。短期で辞めてしまう人が多い中で、長期的に働けるようなトレーニングプログラムが考えられていたり。障がい者の方々を考えたインクルーシブな視点と施策は、障がいをお持ちの方だけでなく、持っていない方にもとても参考になる事例でした。
 
──DE&Iに取り組むことは、より多くの人にとっての働きやすさを実現することにも繋がりそうですね。
 
そうですね。いま、DE&Iは世界の企業や学校では、取り組むべき最優先事項のひとつになっています。一人ひとりが、義務感だけで動くのではなく、ポジティブに動くことができるようなスイッチを押せたらいいなと思っています。DE&Iに取り組んでいくことで、多様な人と働くことに悩んでいる人の気持ちが軽くなったり、一人ひとりがクリエイティビティを発揮しやすくなるような社会を作れたらと思ってます。

属性や肩書きに対するバイアスを捨てると、人生がより楽に豊かになる


 


──ゼミの参加者にはどのような人がいましたか。
 
社会人の方が2名と、学生の方が3名です。学生さんは、社会課題や人権問題に関心があってゼミに参加したという方が多かったですね。社会人の方の中には、20代でプロジェクトのチームリーダーを任されていて、多様な人たちをどうやってまとめてチームをつくっていくべきか日々考えているという方もいらっしゃいました。
 
──本橋さんから見て、ゼミへの参加を経て、ゼミ生の皆さんにはどのような変化があったのでしょうか。
 
学生さんの中に、来年から博報堂に入る予定の方がいたんですが、その方はDE&Iがいまものづくりや表現する人たちにとってもいかに必須になりつつあるかということを知れただけでなく、多角的な視点を取り入れることでより多様な人々に深く刺さるコンテンツがつくれるようになることが分かり、とても面白かったと言っていました。
 
それからやはり、発達障がいのある方に参加いただいたことで、新たな視点から心地のよい環境づくりについて考えられた人は多かったように思います。多様なメンバーでのチームアップがクリエイティビティに繋がるというのを実感できたことはとても大きかったですし、すべての人から学びと発見があるという気持ちを持った上で、人と関わることは、自分自身の人生を豊かにしてくれるとも感じました。
 
──今回のゼミは企業におけるDE&Iというテーマでしたが、多様性について学ぶことは、個人の人生とも切り離せないものですよね。
 
仕事にも人生にも密接に関わっているテーマだと改めて思いましたね。私たちは誰しも肩書きや属性、社会的評価といったしがらみを抱えて生きていますが、相手に対して、自分に対して、思い切ってそこに対するバイアスを外してみると、自分自身の人生がすごく楽しく、豊かになるということは大きな気づきでした。肩書きや属性だけに頼らず、自分の足で立って生きていくんだという意識を持つことは、自分を解放する、クリエイティビティを解放するために、いまとても大切なものだと感じています。



取材・文:生湯葉シホ


本橋 彩がプログラムディレクターを務めたゼミはこちら→ Know difference Love difference