【連載】Sustainable Sketch by サスデイラボ 第1回テーマ:Neo Convenience
サステナブルドリーマーズなクリエイティブ集団「サスデイラボ」が、エスキースから試作制作までをこなせる職能を活かし、サステナブルな社会をつくるプロダクト、仕組みや思想につながるようなアイデアを提案する連載。
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コンビニは、1960年代以降に日本で独自の発展を遂げ、その時代の生活者が求める利便性に応えてきた。東日本大震災以降は、電力不足に対し、使う照明を半分に減らしたり、LED照明を導入したり、エネルギー消費を抑える店舗が増えた。コロナ禍においては、以前から議論されていた24時間営業をやめ、そのまま継続している店舗もある。また、クリスマスケーキや恵方巻に代表される食品ロス問題に対しては、予約分のみを販売する取り組みなども始まっている。さらに、「プラスチック資源循環促進法」が成立し、2022年4月の施行に向け、プラごみ削減のためのキャンペーンなども実施されている。コンビニが生活者の期待に応えながら社会のありさまを映し出す鏡だとすると、これからのコンビニ、10年後のコンビニは、どのような姿になるのだろう。サスデイラボが夢見る利便性が詰まったコンビニ「Neo Convenience」のアイデアを見てみよう。
Sustainable Sketch 01-1:鍋の持ち歩き割引
おでん容器に使用されているプラスチック削減を図るために実施されている割引セール。
客は、蓋付きの容器を持参することで、おでんを購入する際、数個毎に割引購入できる。
M子:おでん鍋割セール・・・・知らなかったわ。このスケッチ、雨が降ってるし(笑)
Kaji:え? 鍋を持って歩くの? ってなるんとちゃうかなあ。
Sustainable Sketch 01-2 おでんマフラー
おでんを入れる容器とマフラーが一体化している。容器の形状は、こんにゃく、だいこん、はんぺんといったおでんの代表的なネタがモチーフになっており、アンカがわりにもなる。脱プラのアイテムとしてだけではなく、冬のファッションアイテムとなるようなアパレル系デザイン。コンビニのロゴが品よくあしらってある。
一同:(笑)。
Ippo:こんにゃくの形の容器に大根入れたりしてね。
M子:なんだか、かわいいわね。おでん容器じゃなくて、おでんのかたちのバッグとマフラーが一体化した感じにも見えるわ。
Ippo:コンビニって、おでんもそうだけど、あったかいものと冷たいものを買うことがあるよね。
一同:あるね。
Sustainable Sketch 02-1 セパレートエコバッグ
コンビニで、温かいものと冷たいものを同時に買う時のストレスをなくすエコバッグの提案。バッグ自体は縦長の形状で、上からリングを通すことで、バッグの上部をホット部分、下部をコールド部分として使うことができる。リングは、ペットボトルの飲み口部分をリサイクルして作られており、飲料メーカーのサステナブルメッセージを込めたノベルティとしても。
Ippo:試作もつくってみたんだけど・・・・。
一同:おー!
Sustainable Sketch 02-2
セパレートエコバッグ(試作)/写真左:ペットリングでエコバッグが上下にセパレートされた状態、写真右:エコバッグが収納された状態
M子:ペットリング?!
Ippo:そう。ペットボトルの飲み口をカットして作ったリング。
Sustainable Sketch 02-3 セパレートエコバッグ(ペットリングの試作)
一同:おおー!!
M子:エッジがツルツル。どうやってつくったの?
Ippo:ヤスリの番手を使い分けていて、最初は240番、次に400番だったかな。それから、600番、800番、1000番、1500番と段階的にヤスリをかけていったかな。
一同:おおおー!!!
Ippo:ちなみに、ヤスリがけの後に、粗目のコンパウンド(研磨剤)、仕上げ用のコンパウンド(研磨剤)の順で、さらに磨いた。
一同:(笑)。
Ippo:空きペットボトルを活かすDIYってインターネットで検索すると色々出てくるんだけど、リングのアイデアはなかったんだよね。
Taka:エコバッグのアイデアなら、僕も考えてみたよ。
M子:見たい!
Sustainable Sketch 03 フードコンテナ付きマイバッグ&利用シーン
客は、惣菜やデザートなどを自動販売機で購入し、詰め替え&コミュニケーションカウンターにて、中身だけを各自持参の「フードコンテナ付きマイバッグ」に移し替えてもらったり、会話したりする。キャッシュレスと盗難防止にもなる。商品の魅力は、容器ではなく自動販売機側のデジタルサイネージで伝える。
スプラウトが栽培されていて、無機質な空間に潤いを与え、買うこともできる。
Taka:僕は、キャッシュレスが進んだとしても、全ての店舗が無人化していくのではなく、店員さんがいるお店もあっていいと思うんだよね。ロボットと人との二人三脚体制とかね。
M子:ロボットが何か言っているわ・・・・コオロギフリカケ?
Taka:スプラウトもあるし、コオロギもいるし、みたいな。
Syota:フードコンテナの方向性はありですよね。僕も循環する容器について考えました。
Sustainable Sketch 04 フードコンテナ
フードコンテナ&回収システム/惣菜類は従来のパッケージに入っているのではなく、フードコンテナ(移動容器)に入っている。食べた後は、そのまま家庭でフードコンテナとして使い続けることもでき、コンビニに設置された回収BOXに返却すると半額返金などのインセンティブがある。
Syota:フードコンテナは、回収時にスタッキングしやすいデザインにしたり、コンビニ各社のCIを意識したビジュアルデザインにしたり、面白くできそうだなあと。
Taka:フードコンテナの考え方はあるよね。僕の方は、回収システムとのセットというわけではなく、単体で色々なバリエーションを考えてみた。まずはノーマルなやつね。
Sustainable Sketch 05 フードコンテナ付きマイバッグ
マイバッグの底の方がフードコンテナとして使える。汁や匂いを漏らさない素材と開閉方式が採用されており、中身が透けて見えることで全体デザインに華を添える。
M子:開閉方式が気になるけど、他のバリエーションも見たいわ。
Taka:色々あるよ。
Sustainable Sketch 06 フードコンテナシリーズ
スイーツ好きのための気取ったコンテナ・バッグやコンテナ・ハット、アメリカンドッグ好きのためのガンマン型コンテナなど、コンビニメニューごとのファン層に向けたフードコンテナ。
一同:(笑)
M子:フードコンテナかあ。ようは、タッ〇―ね。
Kaji:お菓子のパッケージも気になるよね。
Sustainable Sketch 07 ゴミ入れ付きお菓子のパッケージ
予め、ゴミ入れスペースが設けられたパッケージ。一時的ではあるが、ゴミを出さないシステムが実現する。飴や煎餅の袋の場合、開封時に切れ端がゴミになるので、ちぎれないようになっている。
Taka:お出かけの時に便利かも!?
Kaji:個包装って、わちゃわちゃってなるよね。
M子:なるなる(笑)。
「Neo Convenience」はいかがだっただろうか。リサイクルしやすいデザイン、リサイクルを促すデザイン、プラスチック容器を増やさないアイデアなどのサステナブル・スケッチを通して、利便性や効率性を高めながらも、面白さや温かさを感じるデザインができそうだと感じている。アイデアを現実社会で実装するには、ブラッシュアップしていくこととなるが、その過程では当然、経済性が求められる。夢を膨らませながらも実現可能な「Neo Convenience」のデザインについて、引き続き考えていきたい。
サスデイラボ
2021年5月に結成。サステナブルへの探求心を認め合い、研究と実践を行うクリエイティブ集団。評論するよりアイデア出そうが暗黙の了解となっている。穏やで熱く、駄洒落好きな面々。
Taka:早川貴章(プロダクトデザイナー/C.H.O.design代表 http://chodesign.jp)
Kaji:梶本博司(プロダクトデザイナー/カジモトデザイン代表http://hiroshi-kajimoto.com)
Ippo:古小路一歩 (インテリアデザイナー/フトコロ 代表 https://www.hutocolo.com)
Syota:組地翔太(プロダクトデザイナー/KUMIJI DESIGN代表https://www.kumijistore.com)
M子:早川昌子(環境NPO事務局/「古民家びと」編集長https://cominka.jp)