2022.6.10

創造性ゼミ 2022

【連載】カーボンニュートラルと創造性 ~脱炭素による経済発展を自分の仕事にしてみよう~ (2022ゼミ第3回)

2050年カーボンニュートラル宣言。脱炭素の挑戦をブレーキではなく成長のエネルギーに変えることでこの目標を達成できないか?というのが産業経済社会が抱える最大の課題です。

この課題に対して経済、テック、哲学、文化…さまざまな世界の第一線で活躍するチャレンジャーをゲストに迎え、その刺激を浴びながら議論と創発を行い、連携して複数のプロジェクトを立ち上げることを目指す「カーボンニュートラルと創造性ゼミ」での講義と議論の模様を、毎週金曜追加更新の形で配信動画と参加者によるレポート記事としてお届けしていきます。


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「カーボンニュートラルと創造性ゼミ」、4/11の回は「音楽の力×若者の力」と題して、太陽光の力を使ったロックコンサート・ソーラー武道館の主宰でミュージシャンの佐藤タイジさんと、20歳の環境活動家として全国の小中学校で気候変動をテーマにした講演会を行っている露木しいなさんをお招きしました。

 

まずは露木しいなさんから。現在の活動に至るエピソードや、講演会でお話されている内容を教えて頂きました。


 

「高校3年間、世界のグリーンリーダーを育てるというコンセプトのインドネシアのGreenSchoolに通っていました。ここでは『行動が当たり前』。行動、と言われても『まだ学生だし、自分にできるのかな』という戸惑いがありました。周りの人たちの行動力を見て、『大人になるまで待たなくていい』と気づかされました。そしてまず、口紅の開発を始めました。妹がナチュラルと記載のある化粧品を使っていたのに肌が荒れてしまったんです。実はナチュラル表記には定義がなく、ケミカルな原料が含まれていても記載することができちゃいます。実験を重ね、妹も使える口紅を開発し、現在では販売も行っています。口紅の開発の中で生産過程だけでなく、消費やその後の処理にも問題があることに気付き、現在の活動が拡がっていきました」(しいな)



講演会では、いくつかの事例をあげて世界がどのように気候変動しているかを教えているそうです。

 

例えば・・・

■気候変動を改善できるまでのタイムリミット時計が世界中で設置されていること。

※産業革命前からの気温上昇率を1.5℃以内に抑えられるまでのタイムリミット。現在は+1.1~1.3℃。今のペースで二酸化炭素の排出を続けた場合、約7年半で+1.5℃に到達してしまう。

■21年2月に南極で史上初の気温20℃超えであることが観測され、北極でも最高気温38℃を記録。

■熱帯雨林・アマゾンでは人工的に森林を燃やしている。これは家畜を育てるための餌(穀物)の畑にするため。1kgの牛肉を作るのに25kgの穀物が必要とされている。

※日本の森林は人工的に植樹をし、そのまま放置されている。植樹した森はある程度伐採しないと細い樹木ばかりで根が張れていないため土砂崩れの原因になっている。

 

「世界がこのような状態になっていても、大量生産、大量消費そしてその後、大量破棄され続けているのは便利が幸せ、と思っているからなのかもしれない。日本のフードロスは世界の食料援助量の1.4倍、540万トン。そして世界で製造された6割の衣服が廃棄されている。私達は資源を無駄使いしてしまっている」(しいな)

 

しいなさんは環境活動家として講演会を回りながら「環境活動家はいらない」と語っています。

 

「講演を始めて1年半。1人じゃ何も変わらない。これまで2万5千人に向けて講演をして、その中から活動を始める人がでてきている。行動格差は情報格差。グレタ・トゥーンベリさんが1人で始めたFriday for Futureは世界150か所、歴史上最大の気候ストライキとなった。1人じゃ何も変わらないけど、1人からしか変わらない。みんなが当たり前に活動するシステムを作って、環境活動家がいない社会を目指しています」(しいな)



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続いて“行動する大人”代表・佐藤タイジさん。

元々、シアターブルックの周年記念として、武道館ライブを企画していたそう。その矢先に311が起き、翌週予定されていた配信ライブを復興支援のためのライブに変更。そこからソーラー武道館に繋がっていったそうです。

 

「節電が叫ばれていたときだったから、電気を使ってライブをやるなんて!と怒る人もいた。だから武道館、全部太陽光発電でやりまーす!と言ってしまった。その後にソーラー発電ってどうやるんだ?って学んだ(笑)」(タイジ)



本当にソーラーパネルの電力を蓄電池に貯めて、ライブができるのか?と試しにスタジオで演奏してみたときのこと。

 

「アンプを繋げて、バーンと音を出した瞬間、びっくりした。びっくりするほど音が良かった。高音も低音も広がっている。音を聴いた瞬間に『タイジ、この道だ!』と言われた気がした」(タイジ)

 

実は発電所から電線を通してスピーカーに電気がくるまで、電気自体にノイズが乗ってしまっているそう。日常生活で使う電化製品にはもちろん影響はないのですが、音に繋げるとノイズがダイレクトに影響してくるのです。

 

「誰もやったことがないから知らなかったけど、すごい発見じゃないですか。音が良いとミュージシャンも演奏したいと集まってくる。今年も開催できそう。夢を追いかけることは健康にいい!毎回、天気には恵まれてます。自称・シャーマンからは『タイジさんは太陽と直で契約しているんですね』と言われた。太陽に意思があるかどうかは確認できないけど、ないわけがない!意思も意図もあるはず」(タイジ)

 

ここからはタイジさん・しいなさんのクロストーク。急にタイジさんが、ボノボとチンパンジーの話を。しかしこれが重要な話に繋がります。



「ボノボは女子がリーダー、チンパンジーは男子がリーダー。生物学的にはほぼ同種の動物なんだけど、違いはそれくらい。新しい餌場を見つけたら、チンパンジーは他の集団を寄せ付けないようにやっつけちゃう。でも、ボノボは他の集団がきたら、一緒に食べよ、と仲良くするらしい。これは戦争から遠ざかるためのヒントではないかな。きっと戦争はいつか終わる、なぜなら我々が願っているから。生きている間にそこにいきたい。今回の戦争は人類最後の戦争になってほしい」(タイジ)

 

「ボノボの分け合う心って大事!戦争は資源をめぐって起きている。人は資源がないと生活ができない、資源が限られていると知っているから。限定と言われると欲しくなってしまう」(しいな)

 

コロナでいち早く対策できた国は、女性がリーダーの国、という話から、タイジさんからこんな言葉が。

「ボノボの話も女性がリーダーというのがキーワード。女性は子供を産む。子供=未来を生むことができるのは女性だけ」(タイジ)

 

会場からの「地球全体の利益よりも、自分の利益を優先してしまうことが大きな壁となっているが、その壁を乗り越えるためにどうしたらよいのか」という質問にはこんな意見が。

 

「持続可能にするのは、正しさよりも楽しさ!環境のことってビニール袋有料化の例では、頑張っている人は何ももらえない。汚染する人のほうが罰則を受ける仕組みになっている。頑張っている人が儲かる仕組みにしたほうが良いのかも。お金が目的であっても、ゴールが一緒であれば理由は何でもいいと思う」(しいな)


「Noと言い続けるのはしんどい。賛成運動は続けられるけど、反対運動は続かない。ルール決めも政府に任せるのではなく、先に自分たちのコミュニティで決めちゃえばいいんじゃないかな。タイのワンダーフェスでは(廃棄される)もみ殻で作ったリユースカップしか使えなかったけど全く問題なかった。フェスでできるということは小さなコミュニティで実践できるという証拠」(タイジ)

 

そして最後に、佐藤タイジさんの生演奏。

ここまでのお話で会場も熱くなっている中、お話頂いた内容をぎゅっと凝縮したような楽曲を披露してくれました。




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伝わってほしいのさ ボクらの願いだと

かかわってほしいのさ この子の将来と

朝焼けの輝きと 限りあるボクたちの

限りない可能性 限りあるこの星の

———「朝焼けのHumanity」より

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最初の曲から会場内がヒートアップ!

「めちゃやりやすい!伝わっているっていう実感があります。そうか、こういうところでライブをやると伝わるのか!最初に30分MCすればいいんだな(笑)」(タイジ)

 

会場には初めてタイジさんの楽曲を聴く方もいる中、今日の話、そして歌詞に、ビビっと反応し、全員の心が“満場一致”の空気に。

 

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満場一致なのさ 戦争はやめてくれ

愛と平和が最高 心躍らせろ

一人ではできなかった あたりまえだけど

みんなで同時に動かすだけさ

———「ファンキー最高責任者」より

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「ファンキーであることに関してはだいぶ先輩ですよ。2秒で思いついたことをやってしまったのも、俺がファンキーだったというだけ(笑)ソーラー武道館をここまで育てるのは大変だったけど、大変なことを大変そうにやっていたら誰もついてこないから」(タイジ)

 

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その上の太陽は ありったけの愛だけで出来てると思いませんか?

ありったけの愛だけで あの太陽は ありったけの愛だけで あの太陽は

———「ありったけの愛」より

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「『ありったけの愛』はデビュー曲。太陽の曲をずっと歌い続けてると、太陽のことをやってしまうんですよ(笑)歌が俺を導いたって理解してる。そこに音楽の不思議な力を感じる」(タイジ)

 

脱炭素をテーマにしながら、まさかのオフィスビル内でライブ。

楽しくないと誰もついてこないし、自分も続かない。

「脱炭素をチャンスに変える」方法を五感で感じ、話し手も、歌い手も、聴き手も心を通わせた回になりました。

この熱い思いを感じたい方は是非、動画もご覧ください!


Catalyst
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佐藤タイジ
シアターブルック・THE SOLAR BUDOKAN主宰

徳島県出身。ギターボーカル日本代表。 太陽光発電システムによるロックフェス「THE SOLAR BUDOKAN(since 2012)」の主宰者。 日本の音楽界と再生エネルギー界を牽引する稀有なモジャモジャ頭。 「ロックスター」「ファンキー最高責任者」は彼の代名詞。 ’86、シアターブルック結成。 ’91、RedHotChili Peppersのフロントアクト。 ’95、EPICからデビュー。 「ありったけの愛」がJ-WAVE.FM802など主要FM局でヘビーローテーション。 ちなみに太陽の愛を歌ったこの曲を歌い続けたことが「THE SOLARBUDOKAN」のアイデアの源泉。 森俊之とのクラブ系ユニット「The SunPaulo」ではエレクトロ。 そして高円寺阿波おどりとのコラボ「佐藤タイジ&華純連」は日本の音楽史の転換点となる壮大なプロジェクト。 2019年9月には11年ぶりのソロアルバム「My Hero 」をリリース 2020年にはベーシストKenKenとのユニット「ComplianS」を結成。 各ジャンルにおいて活躍中! 佐藤タイジは間違いなく日本代表ロックスターなのだ! ■佐藤タイジ HP http://www.taijinho.com/  ■シアターブルック HP http://www.theatrebrook.com/  ■THE SOLAR BUDOKAN HP http://solarbudokan.com/ 

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露木しいな
環境活動家

2001年横浜生まれ、中華街育ち。 「世界一エコな学校」と言われるインドネシアの「Green School Bali」で高校3年間を過ごし、卒業。 COP24(気候変動枠組条約締約国会議) in Poland、COP25 in Spainに参加。 肌が弱かった妹のためにShiina Cosmeticsを立ち上げる。 2019年9月、慶應義塾大学に入学。現在は、環境講演を全国の小中高学校に行うため、休学中。 すでに170校2万4千人以上にお話を届けた。

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田村 裕俊
UoC プロデューサー

博報堂で30年営業職を務めたあと UNIVERSITY of CREATIVITY 準備室に異動し事務方代表として機関の立ち上げに参加。 UoCでは社会課題解決とビジネスの連結による次世代型経済成長をテーマに INDUSTRY 領域のリーダーを務める。 私生活では2人の子どもを自然派無認可保育園に通わせ20年来様々な活動に関わる中で自然教育とコミュニティーへの関心に目覚める。

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