2022.10.18

創造性ゼミ 2022

【創造性ゼミ2022を終えて】AIラッパーであそぼう 〜AIラッパーの遊び方をつくる〜

UNIVERSITY of CREATIVITYは、14の「創造性ゼミ2022」を開講しました。
それぞれのゼミが挑んだテーマは、創造性との関係を比較的容易に想像できるものもあれば、直感的には連想しにくいものまで幅広く、そこに集ったゼミ生たちの個性がお互いに刺激し合いながら、新たな価値が同時多発的に生まれる場となりました。
UoCプレスチームは、この学びの港を編み上げた各ゼミのプログラムディレクターにインタビューを行い、ゼミ生がどのような気付きを得ていたか、そしてどのような変化があったのか、深掘りを試みました。

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AIがラップを生成し人の創造性を触発する



AIがラップを作りコミュニケーションをエンタメ化する

 
──AIラッパーというのはAIがラップを作ってくれるプログラムですよね? どんなことができるんですか?
 
ユウキ
一つは任意のテキストに対して韻をデータベースから呼び出してリリック(歌詞)を作ってくれる機能。もう一つはリリックにリズムをつけて音声をデータ化して聴かせてくれる機能の大きくはこの二つがあります。プログラマーやエンジニアの方を含むチームで作っていて、マチーデフさんにはラップとしての全体監修をお願いしています。
 
──世の中的にどんな意義があるものなんでしょうか?
 
ユウキ
どんな可能性があるのかはずっと議論してきてますね。今はSNSなどで自分のことを発信する機会が増えてるのに自分が伝えたくても伝えられない言葉がありますよね。そんなときにラップでエンタメ化して相手に伝えられたりすると、言いにくいことでも円滑に伝えられるのではないかというのが一つあります。
 
もう一つは自分が生活する中で本当に伝えたい言葉や本当に思っていることが忙しくてわからなくなったりしますよね。このゼミでワークショップをやったときに、自分が伝えたい単語の韻がどんどん羅列されていくことで、 自分が思いもよらなかった言葉の組み合わせや言い回しが発見されたんです。そういうことで進む思考回路があることにそこで気づきました。より自分が伝えたいことや自分の理解促進に繋がる側面がAIラッパーにはあるのかもしれません。
 
マチーデフ
他にもラップという音楽的な分析がまだ行き届いてないジャンルの中で、AIラッパーの開発を進める際にはラップの構造の言語化や体系化が必要になってきます。それは僕の知る限り誰もやってないことであり意義があることだと思いますね。




おもしろいツールで遊び、創造性が触発される

 
──このゼミではAIラッパーを開発するわけではないんですよね?
 
マチーデフ
AIラッパーというシステムをいかに遊べるかみたいなコンセプトですね。ゼミの最初にAIラッパーを触ってもらって、それぞれどういうことをやりたいかを共有してもらいつつ進行していく。それとは別にAIの第一線で活躍している方々を呼んでお話を聞いたり意見を交換するような形です。
 
ユウキ
ゼミ生の中には普段からプログラムを組まれる方もいらっしゃれば、AIラッパーのシステムのみを使ってワークショップのようなことを企画されている方もいますね。
 
──創造性という点ではどのようなことがあると思いますか?
 
ユウキ
AIラッパーというツールで人がどう触発されるか、どういう発想や使い方が生まれるかというところが創造性の発揮しどころ。実際、使ってるシステムは同じなのにゼミ生たちが着目した点も表現の仕方もそれぞれ違っていたんですね。
 
例えばゼミ生の方が企画して、AIラッパーが作成したリリックからそれぞれ連想することを発表するワークショップをしたことがあったんです。ゼミ生の方が巧みに聞き出した結果、どれもその人の深層心理が現れる占いや心理テストのようなことになってとても驚きました。
 
マチーデフ
普通の曲だと書き手の意図が生まれてしまうんですけどAIラッパーがどういう思いを込めたかというとそれは無だし未知。そこにはより没頭できる没入感があると思います。水を出されて、それぞれがオレンジジュースに感じたりリンゴジュースに感じたり味を感じてる状態。普通の歌だと、それがジュースとして出されちゃうと思うんですよ。
 
参加者全員捉え方が全然違って創造性というのは人によってやっぱり違うんだなとすごく分かったし、あのワークショップは創造性から人となりが見えてくることが実践されました。
 


それぞれがAIラッパーをどう解釈したかで研究が生み出される

 
──ゼミ生の方はそれぞれどんな研究をされたんでしょうか?
 
ユウキ
プログラムを普段から組んでいる方がいるんですが、研究としてプログラムではなく今のAIラッパーのシステムでどういうふうに言語が生成されてシステムが成長していくのか、その過程を見せることに取り組まれてます。
 
先程のワークショップを企画された方は最終的な研究発表もワークショップになるみたいです。自分が何気なく書いた言葉が音楽になって発表者になったとき、どういう心情が生まれるのかに着目するワークショップですね。
 
面談のときにはAIラッパーがコミュニケーションの補助ツールとして使えないかという話をされていて、コミュニケーションというものに疑問を抱いている印象があったんですが、これは僕たち側の変化なんですけど、こんなにコミュニケーションが上手な人なんだとかこういうところに着目しているんだと知りましたね。
 
身体表現をやってらっしゃる方はダンス系の研究発表をするのかなと思ってましたが違いました。特定の絵文字が入ったSNS投稿からテキストを抽出してAIラッパーに代入する。それがどんなラップになるのか発表してくださるみたいです。表現の主体が複数いても一つの表現として聴こえてくるのか、絵文字によってピックアップされる感情が違ってくるのか、結果が楽しみですね。
 

自分自身と世界の未来を楽しく覗きに行く

 
──このゼミに参加するメリットはどんなことがあると考えますか?
 
マチーデフ
AIラッパーシステム自体が開発途中で我々が思い描いてるものの実現もまだ先にあります。もちろん最先端のものを作ってる認識はありますが、講師に来ていただいた方の話を聞いてフィールドを拡げると世の中にはもっと進んでる人がいることを知る。そういう意味ではゼミを通じてちょっと先の未来みたいなのが覗けるんじゃないかなという気はしますね。
 
ユウキ
例えば寝る前に一日を振り返り反省するとき暗くなったりしますが、このゼミで自分のことをかえりみて言うとかなりポジティブなことになるんですね。暗い話であっても、AIラッパーを通すと人を気持ちよくさせたり笑わせたりラップという音楽表現の持つポジティブさがある。 自分が口下手でも恥ずかしがり屋でも自己表現ができることはこのツールの大きな特徴だと思います。
 
──最先端のものすごくおもしろいツールを一番近くで触れることはなかなかないですよね
 
ユウキ
ツールとしての魅力はすごくありますね。学生が言いにくいことをアウトプットする動画が今公開されてるんですが、自分が何気なく打ったテキストが音楽になる、そんな飛躍性があるんですね。感覚でいうと、何気なく撮った写真に加工を加えて見た人が「おっ!」てなるようなエンタメ性を手軽に加えられたりするようなもの。新しい自己表現ツールとしての魅力はすごくあるのではと思っています。
 
マチーデフ
僕個人の感想にもなってしまうんですけど、AIの技術自体が発展途上で今ものすごいスピードで進んでいて、このゼミを通じて我々よりもっと前から研究されてるゲストの方々を知ったり、未来を感じられたり今の我々がいるAIラッパーの現在地を知ることができたのは大きかったですね。

取材・文:大北栄人



横井優樹がプログラムディレクターを務めたゼミはこちら→ 
AIラッパーであそぼう 〜AIラッパーの遊び方をつくる〜 AI・Technologyのクリエイティブ ディレクターになろう|実践篇