2021.12.31

Creative Industries

創造性特区をつくろうプロジェクト みんなの創造性を底上げする社会の仕組みをつくろう

創造性特区をつくろうプロジェクトは、創造性の伸長や発揮を個人任せにするのではなく、みんなの創造性を底上げする=「創造性の中央値をあげる」社会の仕組みづくりを目指し、研究・実践を同時並行ですすめていくプロジェクトです。

大里 学

#創造性  #マネージメント 

このプロジェクトで目指すこと


このプロジェクトでは、創造性と社会システム(あるいは行政施策)のつながりに着目し、社会全体の創造性を最大化するための仕組み・手法、つまり(社会全体での)創造性のマネジメント方法を見つけ、実装することを目標にしています。別の言葉でいえば、創造性を個人任せ(個人の努力のみによって実現するもの)にはせず、社会全体で、その社会に関わる人々や組織・集団の創造性を底上げする好循環をつくることを目指しています。



プロジェクトのすすめ方
<①、②、③のブロックにわけてすすめる>


上記のように、このプロジェクトは、ちょっと壮大な(笑)プロジェクトだったりします。
そのため、取り組みを、ざっくり3つのブロックに分けて、調査・研究・実践をすすめています。



1つめは、そもそもの話。「人々の何がどうなると、創造性がアップしたといえるのか?」という問いへの取り組み。

2つめは、実践よりの話。「どういうことをやると、(①でいうところの)人々の創造性がアップする?」という問いへの取り組み。

3つめは、社会の仕組みの話。「(もし②を実施するためにルールを変える必要があるなら)どのルールをどう変えれば、より効果的に②を実現できる?」という問いへの取り組みです。

まずは①からはじめて、①の勘所がみえはじめたところ(仮説ができたところ)で、①と②を同時並行ですすめ、将来的に③を目指す。というすすめ方です。
ちなみに、2022年1月現在は、①の勘所がみえはじめたので、②の動きをはじめようとしているところです。

<①をもうちょい具体的に>
創造性を「これまでになかったモノやコトを生み出すチカラ」と定義


①は、まず、創造性の定義からはじめます(あくまで、このプロジェクトにおける定義です)。このプロジェクトでは、創造性を「これまでになかったモノやコトを生み出すチカラ」としました。

この定義に関して、重要だと考えていることが2つあります。
・生み出されたモノやコトが「これまでになかった」と判定する「範囲」に関すること、
・生み出されたモノやコトの「質」に関すること
の2つです。

「これまでになかったモノやコト」の「範囲」|「人類の歴史上」〜「ある人物にとって」まで


「範囲」とは、どの範囲においての「これまでになかったモノやコト」なのかということです。つまり、生み出されたモノやコトが、人類の歴史上「これまでになかった」場合もあれば、ある特定の地域において「これまでになかった」場合もあれば、ある人物にとって「これまでになかった」こともあるということです。

ある人物 ⊃ ある特定の地域 ⊃ 人類の歴史上

となり、当然、右に行けば行くほど、その難易度は上がっていきます。
もちろん、人類の歴史上「これまでになかったモノやコトを生み出すチカラ」について考えることは意味があることですが、みんなの創造性を取り扱いたい本プロジェクトの対象としては、達成ハードルが高すぎます。
一方、ある人物にとっての「これまでになかったモノやコト」とすると、その実現までのハードルは非常に下がります。例えば、釣りをやったことがなかった人が、釣りをはじめてみることも含まれます。これは、とても大切なことではあるのですが、個人の活動にフォーカスすることになり、「創造性を個人任せにしない」というコンセプトから離れてしまう可能性があります。
そのため、このプロジェクトが現時点でフォーカスするのは、その中間に位置する、ある特定の地域にとって「これまでになかったモノやコト」です。○○市において「これまでになかったモノやコト」、○○県や○○地区において「これまでになかったモノやコト」などです。

「これまでになかったモノやコト」の「質」|「質」の判定はしない


2つめの「質」とは、「これまでになかったモノやコト」の質の判定はしない、ということです。
もちろん、生み出されたモノやコトの質は最終的には重要なのですが、研究の対象とする際に、質の判定は行いません。
これには、2つ理由があります。1つ目は、質の判定は非常に難しいためです。生み出された時点で価値を見いだされるモノやコトがある一方、その価値が評価されるまで時間がかかるモノやコトも存在します。2つ目は、質を高めるためには量を確保することが重要だと考えるからです。


<②をもうちょい具体的に>
行政施策と創造性をつなげる


②は、社会全体 ≒ みんな ≒ できるだけ多く人々の創造性を上げるやり方をみつけるという意味です。そのためのアプローチは、必ずしも行政である必要はありませんが、特定の地域の人々にひろく影響を与えうる活動であり、さらにその横展開がありえる対象は、基礎自治体とそれらが行う行政施策だと考えました。
そして、どのような行政施策を行うと、①で明らかにしようとしている「(特定の地域にとって)これまでになかったモノやコトを生み出す」ための複数のコンピテンシーを伸ばし、開発できるのかを調べようとしています。これによって、地域の人々の創造性を伸ばすための行政施策の

とりあえず、教育・文化・芸術は除いて考える


また、みんなの創造性を上げる、という話になると、創造性を上げる「教育」や「文化・芸術」に関連した取り組みを思い浮かべる方も多いかもしれません。実際「教育」や「文化・芸術」活動がもつ創造性への影響は非常に大きいのでしょう。しかし、「教育」や「文化・芸術」関連活動以外にも、創造性に大きな影響を与えている社会の仕組みや施策はたくさんあるはずです。そのため、このプロジェクトにおいて、初期段階の現在では、「教育」や「文化・芸術」以外のところで、「どういうことをやると創造性がアップするか」に向き合おうとしています。それは、まだまだ手探りですが、例えば、税制。例えば、交通。例えば、市役所の人事制度。例えば、行政区の分け方。など、対象は多岐に渡ります。
(あえて「教育」や「文化・芸術」から離れることで、創造性についての「教育」や「文化・芸術」の価値も見いだせるかもしれないとも思ったりしています)

<③をもうちょい具体的に>
創造性特区の社会実装→展開部分


③については、あまり具体的に書くことは無いのですが(笑)、プロジェクト名である「創造性特区」に関わる社会実装→展開部分です。
①と②の研究と実践を通してわかった「人々の創造性を高める行政施策」を実施するにあたって、現状のルールや仕組みが障害となる場合、そのルールや仕組みを限定的にでも変更して、実施できるようにしようというものです。
①や②がまだみえていない研究初期の現段階では、その「創造性特区」がどのようなものになるか、まだはっきりしていません。しかし、2021年12月にUoC主催で行ったCREATIVITTY FUTURE FORUMでの「創造性特区をつくろう 〜2040年の市役所をプロトタイピングする」セッションでは、あえてそのゴールイメージを妄想することで、「創造性特区」のイメージ3つを、3つのグループとともに提案しました。
セッションレポートはこちらの記事から。

具体的な取り組み

2020年12月研究の立ち上げ以降、①についての調査・研究を行っています。

<UoCゼミでの仮説立案>

ベースとなる仮説部分は、2020年12月〜2021年2月に実施された、UoCゼミの1つ「クリエイティブ産業ゼミ〜創造性をマネジメントする第一歩」のメンバーと一緒に作成をしました。


※2022年1月現在では、コンピテンシー仮説は上記ver1.0から2.0にアップデートされています。ver2.0の公開は2022年春頃を予定しています。

<3つの基礎自治体と提携>

2021年12月現在、千葉県君津市、埼玉県横瀬町(よこらぼ)、大分県津久見市と提携・連携し、研究をすすめています。



それぞれの地域で、(その地域にとって)これまでになかったモノやコトを生み出している人たちを見つけ、その活動に関するグループインタビューを行います。そして、そのインタビュー中での発言と、仮説内のコンピテンシーを比較し、コード化し、分析します。現在は、分析を通して、仮説モデルとコンピテンシーのアップデートを行っており、2022年春ごろに、ここまでの研究についての発表を行う予定です。



コンタクト先

研究内容に興味のある方は、info@uoc.world までご連絡ください。

Catalyst
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大里 学
UoC フィールドディレクター

福井県大野市生まれ・育ち。 UoCにて、創造性のマネジメント研究をベースに、創造性特区をつくろうプロジェクト等を担当。 個人がより創造的であるためには、個人の才能や努力以上に、社会の仕組み・ルール・価値観が重要ではないかと考え、「創造性の中央値」をあげるための実践・研究を行っている。 その他、「広告|恋する芸術と科学」副編集長(2012-2014)、米日財団 日米リーダーシッププログラム日本代表(2019 -)、912運営メンバー、精神障害者保健福祉手帳3級(ADHD / ASD)、北陸先端科学技術大学院大学博士後期課程在籍中(2021-)など。

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創造自治体研究会チーム
福井県

2021年秋、福井県在住のメンバーにより結成された自主研究会。行政の現場で活躍するメンバーが多く、地方自治法に掲げられた「住民の福祉の増進(well-being)」という目的に向き合い、よりよい自治体の在り方を目指して「創造自治体」という新しい概念を立ち上げ研究を続けている。 セッション当日、UoCのマンダラに登場するのは、高野翔(福井県立大学 准教授)。

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東京都檜原村・山梨県小菅村

多摩川の源流域である東京都檜原村と山梨県小菅村のメンバーによって構成されるチーム。役場の職員経験者をはじめ、都心と源流域を自由に行き来しながら、村でしかできない活動・事業を生み出しているメンバーたちが、都市と山間部の新たな関係性を描き出すことに挑戦。セッション当日、UoCのマンダラに登場するのは、清田直博(一般社団法人アナドロマス) チームメンバー:菊池哲平(檜原村企画財政課)、竹田潤平(無所属)、石坂真悟(NPO法人多摩源流こすげ)

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UoCクリ産ゼミチーム
東京都島嶼部

UoCで2020-21年冬にひらかれた「クリエイティブ産業ゼミ〜創造性をマネジメントする第一歩」に参加したメンバー有志によるチーム。東京都の某島に移住したメンバーを中心に、「創造性のマネジメント」についてともに考えた、職業や経験が様々な20代〜60代の男女によるコラボレーション。 セッション当日、UoCのマンダラに登場するのは、大屋友紀雄(クリエティブディレクター/株式会社FULL代表)

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