2021.11.8

New Economy

【連載】Diversity, Equity & Inclusion と Creativity

 ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの環境では、イノベーションが起こりやすいといわれています。それは、創造性が発揮しやすいということでもあります。
 いま世界中でダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの重要性がいわれていますが、推進するために、いまわたしたちはなにをする必要があるのでしょうか?なにが障壁になっているのでしょうか?
障壁を創造的に超えている方々とお話ししながら、一人ひとりが創造性を発揮できる、楽しい未来を創る方法を考えていきます。

本橋 彩

#【連載】Know difference...  #Diversity & Inclusion  #SDGs  #creativity 

ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンがないと生き残れない?


 ここ数年、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンという言葉をよく耳にしませんか?
 
 ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンとは、性別、年齢、障がい、国籍などの外面の属性や、ライフスタイル、職歴、宗教、価値観などの内面の属性にかかわらず(=ダイバーシティ)、それぞれの個を尊重し、認め合い、良いところを活かしていく(=インクルージョン)、そして一人ひとりの状況に応じて公正に機会を提供し続けていく(=エクイティ)ことです。
 
 いまダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンのない企業は生き残れないと言われています。ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを実践している企業は、イノベーションが起きる可能性があり、優秀な人材も確保しやすいと考えられ、世界中でESG投資が集まっています。
 これは、企業に限った話ではなく、政府、団体、学校、地域、さまざまな環境においても同じことが言えると思います。企業がダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを進めるためには、政府自体がダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンでないと、理解が進まず、推進する法令などを作ることができないでしょう。教育でも、子どもたちだけでなく、大人たちへも理解を進め、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンが当たり前の環境と思考をつくる必要があります。また、日々生活している地域がそのような環境であれば、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンが当たり前という思考の土台がつくられるのだと思います。
 
ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンは、産官学民で連携して推進することで、ようやく私たちの中にインストールされ、当たり前になっていくのではないでしょうか。
 

ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンで創造性が発揮できる?

 
 創造性はどんな時に発揮されると思いますか?
 
 これまで、さまざまな分野の方と創造性はどのような時に発揮されるか話してきたのですが、3つの共通するポイントがありました。
 一つめは、問いを立て続けた時。なぜそうなっているのか?自分はそう考えるのか?と、社会と自分に、今ある常識を疑いながら問い続ける。問い続ける過程で、創造性が発揮されるのではないか。二つめは、違う価値観をつなげた時。立命館アジア太平洋大学学長の出口治明さんが人間の成長のためには、 “人・本・旅”が大切と話されています。これは創造性にも置き換えられるのではないかと思います。違う価値観を持つ人から学び、本で会えない人や歴史上の人から学び、旅で自分のコンフォートゾーンを抜け出して社会から学ぶ。自分の内外にダイバーシティを持てた時に創造性が発揮されるのではないか。三つめは、自分らしくいられる時。安心できる環境で、自分の心理をニュートラルな状態に置けている時に、思考能力が高まり、創造性が発揮できるのではないか。
 この三つに共通しているのが、ダイバーシティを自分の内(思考)外(環境)に作っておくことの大切さです。
 

ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンは楽しくて楽?

 
 わたしはダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンがどんどん進んで欲しいと思っています。なぜなら、きっと楽しくて、楽だからと思うからです。
 
 多様な価値観を理解するためには時間がかかり、最初は効率が下がるけれど、最終的に成果を出すと言われています。お互いを理解するためにかかる過程は、知らないことを発見できる楽しい時間なのではないでしょうか。また多様な価値観がある環境では同調圧力が働かないので「じぶんはこれでもいいんだと」自分らしくいられるのではないでしょうか。自分らしくいられるときに創造性は発揮されやすいので、いろいろな発見をしながらいろいろなアイデアを生み出せるのではと思います。
 
 では、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンはどうしたら進むのでしょうか?
 さまざまな企業が推進を宣言していますが、ニュースを見る限り、遅れているようにも感じます。今年3月に世界経済フォーラムが発表した「ジェンダーギャップ指数2021」で、日本は156カ国中120位という結果でした。分野別に見ると、経済は117位、政治は147位、教育は92位、健康は65位。日本はG7では最下位、先進国の中でも最低レベルです。アジアを見ても、102位の韓国や107位の中国、ASEAN諸国よりも低い結果で、残念な結果です。
 
 これはジェンダーギャップの話ですが、人口の半分の女性がマイナーになるということは、他のさまざまな属性の方がよりマイナーになっているということでもあります。そして、これは男性の中でのダイバーシティもインクルーシブされていないということでもあります。
 
 なぜ日本は進まないのでしょうか?どこに進めるヒントがあるのでしょうか?
 次回以降、産官学民でダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを面白く推進している方々と話しながら、そのヒントを探しにいきたいと思います。

Catalyst
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本橋 彩
UoC プロデューサー

大学時代に建築を学び、空間を通して五感で感じる感動をお届けしたいと思い、長年文化事業プロデューサーとして、クライアントや官公庁、テレビ局や新聞社と共に、大型の美術展やコンサート、ステージの企画制作を手がけてきた。文化事業を通して、企業や社会の課題をポジティブに解決することを得意とする。わかりやすく楽しいプロモーションを企画しつづけ、2012年に手がけた美術展はイギリスの美術館・博物館専門月刊紙「アート・ニュースペーパー」で「2012年世界で最も人気のある展覧会・美術展」に選ばれた。 能楽や茶道を楽しみ、伝統を大切にしながら、常に新しい表現方法、コミュニケーション方法を模索している。 インスピレーションの元は、5歳の娘と遊ぶこと。

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