2022.7.11

Diversity Equity & Inclusion

【連載】Know difference Love difference :企業インタビュー#1 株式会社LIFULL

ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの環境では、イノベーションが起こりやすいといわれています。それは、創造性が発揮しやすいということでもあります。
いま世界中でダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの重要性がいわれていますが、推進するために、いまわたしたちはなにをする必要があるのでしょうか?なにが障壁になっているのでしょうか?

障壁を創造的に超えている方々とお話ししながら、一人ひとりが創造性を発揮できる、楽しい未来を創る方法を考えていきます。

本橋 彩

#KnowdifferenceLovedifference  #Diversity Equity & Inclusion  


「Know difference Love difference」ゼミでは、DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)をテーマに、企業の取り組みについて研究し、インタビューを行っています。DE&Iは、私たち誰もが持つ “クリエイティビティ” を発揮して、イノベーションを起こすために必要な土壌です。一人ひとりがエンパワメントされ、よりよい未来を想像するために、私たちに何ができるのでしょうか?この問いと向き合い、研究員が行ったインタビューを紹介します。
第一回は、あらゆる人が自分らしく生きられる社会を実現したいという想いから、一人ひとりが抱える様々な課題に光を当てたドキュメンタリーフィルム(※)を制作されている、株式会社LIFULLの橋本勝洋さんと田中めぐみさんにお話をお聞きしました。

※2022年7月現在、エイジズムについて考える第1弾「年齢の森」、ジェンダーについて考える第2弾「ホンネのヘヤ」
家族について考える第3弾「うちのはなし」を制作、公開しています。


第2弾「ホンネのヘヤ」で、関根光才監督の「いろんなジェンダーのあり方があるなかで見落としていることもありそうで不安になる」というという発言にハッとしました。そこにはさまざまな考えの方がいらっしゃり、一瞬多様性の全てに触れたかのような気持ちになっていましたが、監督の一言でそれもまた一部なのだと感じたのです。全部を理解することはきっと難しいけれど、と対話は再び進んでいきます。無数の違いがあることへの気づきと考えるきっかけを与えてくれたのがLIFULLのドキュメンタリーフィルムでした。


――多様性をテーマにしたドキュメンタリーフィルムが実現した経緯を教えてください。


橋本:「あらゆるLIFEを、FULLに。」というコーポレートメッセージのもと、多様性をテーマにすることはあらかじめ決めていました。あらゆる人が自分らしく暮らせるようにということを考えたときに、年齢や性などのラベリングではなく、その人らしさを見つめて、その人たちの声を聞き、ありのままを認めていくことができればと、LIFULLの一アクションとして制作しています。
田中:2017年の社名変更をきっかけに、ブランドパーパスを根幹に置いた事業推進やブランディング活動を行ってきました。私たちが提供したい価値、実現したい社会を伝えていくには、CMやプロモーションといった決まった手法に捉われずに、直感的に世の中に問いかけをできないかと考えました。ブランドパーパスに基づいて、クリエイティブで世の中に気づきや発見を与えていくということに力を入れています。


 

――どのフィルムでも対話を大切にされています。なぜ対話形式にされたのでしょうか?


橋本:議論にしてしまうと、場合によっては意見を戦わせることになり、自分も相手も傷つくかもしれません。異なる意見の中で不用意に発言してしまうことで、今ある環境を変えてしまったり、人が離れていってしまうかもしれない。当事者の方などは特にオープンにできない状況があるかと思います。話をしたいという方に出ていただくことが前提ではありますが、多様性をテーマに扱うには、心から安心して話せる環境を整えることが必要です。自分の意見を人に聞いてもらうという対話形式にした方が、本音を言えるようになるのではないか。本音を言えるようになった時に、それを見ていたまわりの人が自分の立場に置き換え、考えることができるのではないかと思い、対話形式をとりました。
 

――対話では何が大切だとお考えでしょうか?


橋本:心理的安全性をいかに担保するかを大切に考えています。安心して話してもらえるような関係性、環境や質問の内容などをどう作っていくかということを、撮影チームを含めてものすごく意識し、配慮して制作しています。
田中:対話のよいところは、正解を出そうとしていないところだと思います。個人の意見は引き出したいのですが、私たちは、正解がこれですと言いたいわけではないんです。一人ひとりが違って生きているということをあらためて確認したり、それが多様な生き方なのではないかということを伝えたいという想いが根底にあり、対話が大切だと考えています。
 

――対話の場作りや集まる人の多様性も非常に考えられていることが伝わってきます。


橋本:実際、撮影が始まる前のコミュニケーションを丁寧にやっています。
田中:めちゃくちゃ大変でしたよね(笑)
橋本:最初に企画説明をするのですが、多様性をテーマに扱うことに対し、例えば、性的マイノリティの方々から「企業に我々は消費されているのではないか」と問われることがありました。そうではないということをお伝えして、場合によっては、企画の内容も変更したり、どうやって自分たちの本気を伝えていくか、ドキドキする場面もありました。
田中:調整の段階で、監督も含めて、なぜこれをやりたいのかということを何度も話しました。企業が広告のノリでやってはいけないというのは、監督とともに思っていて、その上でなぜLIFULLがやるのか、やりたいのか、という目線合わせが難しかったですね。ジェンダーというテーマをひとつとっても、性別による役割なのか、自身の性自認の話なのか、範囲が広いです。また、その人が告白することで、影響を受ける人がものすごくたくさんいるんです。それを公開して、できるだけ多くの人に見てもらうということが「消費されているのでは?」ということにつながるのですが、私たちが利己的に言っていないかということを何度も確認されました。そういうこともあり、「ホンネのヘヤ」では、自分たちの本気が伝わるように、監督も私も出演することになったんです。
 

――社内でも多様性の話をしているのですか?


橋本:わりと日常的にしていますね。企画やコミュニケーションとして話すこともあれば、D&I委員会の取り組みで、部署横断で全社的に取り組んでいることもあります。
田中:「あらゆるLIFEを、FULLに。」というコーポレートメッセージや、経営理念である「より多くの人々が心からの『安心』と『喜び』を得られる社会の仕組みを創る」ということを多くの社員が考えていると思います。社員同士がビジョンを語り合う場で多様性について語らうこともありますし、D&Iがという話ではなく、「あらゆるLIFEを、FULLに。」ってどういうことだろうねという軸でみな考えているのではないかと思います。
 


――コーポレートメッセージや経営理念の存在が取り組みの推進力となっているのでしょうか?


橋本:そうですね。社員それぞれが仕事や役割の中で企業理念をどう実現していこうかと取り組んでいることが、LIFULLの強みであり、ユニークな部分だと思います。みな同じ方向を向いている仲間なんだろうなという気持ちがありますね。
田中:それに尽きるのだろうなと思います。
 

――「あらゆる人」というと非常に難しいのではないでしょうか?


橋本:100%完全にというのは難しいのですが、こうすると明らかにこういう人たちをとりこぼしてしまうという可能性があったら、一旦立ち止まって考えます。
田中:加害者/被害者を作らないということも、特に私たちのプロジェクトでは気を付けています。誰かが悪いとか、誰かが正解だという決めつけをしないようにものごとを伝えていかなければいけないと思っています。
 

――今後の取り組みについて教えていただけますか?


田中:会社全体として、事業を通して社会課題の解決を目指すことと、ドキュメンタリーフィルムの制作のような、一人ひとりへの働きかけとして行っていくことの両輪で続けていくと思います。D&Iの取り組みでいえば、D&I委員会を2年前に発足しました。LIFULLらしいなと思うのが、多様性をやろうということではなく、働く一人ひとりが自分らしく安心して活躍できる場を作りたいという想いを掲げていることです。これから活動を強化していきたいと個人的に思っています。
橋本:ドキュメンタリーフィルムへの反応から、見てもらえれば伝わる、理解してもらえるのではないかと感じています。それをいかに届けていくのか、というのが我々の課題です。真摯な姿勢で、時間をかけて伝えていきたいです。世の中への広がりという意味で、一企業の取り組みだと限界があります。もっと社会全体で取り組んでいけるようになれば、私たちが変えていきたい世の中が変わりやすくなるのではないかと思っています。
 

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Catalyst
橋本 勝洋 株式会社LIFULL クリエイティブ本部 コミュニケーションデザインU コンテンツスタジオG グループ長
田中めぐみ 株式会社LIFULL クリエイティブ本部 コミュニケーションデザインU コンテンツスタジオG