2021.12.28

Creativity Future Forum

【レポート】DAY3:CREATIVITY EARTH FUTURE〜創造性でいかに持続可能でハッピーな社会をつくるか?

4日間に渡って開催された「CREATIVITY FUTURE FORUM 2021」。DAY 3は「CREATIVITY EARTH FUTURE」と題し、喫緊の課題である地球温暖化、気候危機に対して創造性でいかに持続可能でハッピーな社会をつくるか?を全体テーマに食、地域、多様性、廃材活用、自然とテクノロジー、意識変革などをめぐって総勢40人以上のカタリストを迎えて全12本のセッションを開催。その中からいくつかのキーワードを元に抜粋して紹介します!

近藤 ヒデノリ

#SUSTAINABLECREATIVITY  #CIRCULARECONOMY  #地球視点  #テクノロジー  #関係性のデザイン  #SDGs  #サステナビリティ 


DAY3最後のセッション『New Earth Mandala ~本気の3.5%が世界を変える』終了後の記念撮影

今年も世界各地で記録的な山火事、ハリケーン、水害、土砂災害、異常気象が頻発するなど、地球温暖化や気候危機の影響は、ぼくらの日常にもひしひしと感じられるようになっている。
 

今年8月、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、人間が地球の気候を温暖化させてきたことに「疑う余地がない」とする報告書を公表。11月にイギリス、グラスゴーで開催されたCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)では今から2030年までを、対策が重要な「決定的な10年」として、産業革命以降の気温上昇を1.5℃目標に向けて世界が努力することが正式に合意された。


もはや「地球温暖化はフェイクニュース」とか「まだ先だから」と悠長に言っている段階ではない「待ったなしの状態」。気候危機という喫緊の問題に向けて、私たちになにができるのか?いかに多くの人の意識や行動、ライフスタイル、カルチャーに変化を起こしていけるのか? そうした「正しさ」だけではないワクワクや楽しさ、幸せをもたらすところにこそ、人間の持つ創造性の役割があるのだと思う。
 
そんな想いから食、地域、廃材活用、自然とテクノロジー、意識変革など(カーボンニュートラルと創造性についてはDAY1に開催)をめぐって総勢40人以上のカタリストを迎えて12本のセッションを開催したDAY3。

その最後のセッション「本気の3.5%が世界を変える」のとおり、あなたにも是非「3.5%」の仲間として、各所で始まりつつある新たな「社会創造」に参加してほしい。


DAY3 Channel 1 アーカイブ


・『DAY3 CREATIVITY EARTH FUTURE オープニング』0:15:00
・『世界を変える(肉好きのための)一週間のフルコース』 0:20:59
・『Circular Creativity Lab. クリエイティビティで廃材をハックしよう』1:45:50
・『赤坂未来妄想 vol.1 〜サステナブルxエンタメでまちが変わる?』3:44:50
・『UoC特別野外授業 “Rebuild New Culture~触りたくなる未来をつくろう”』 3:54:56
・『WHY CREATIVITY ?』5:04:54
・『HOMO COVIVIUM 〜自然のテックと人間のゆくえ』5:39:50
・『New Earth Mandala ~本気の3.5%が世界を変える』6:12:26


DAY3 Channel 2 アーカイブ


・『YOGA 創造性と呼吸』 1:29:55
・『[Social Cinema Dialogue] -PEOPLE POWER 気候変動と日本Ⅱ』(事前登録者のみ上映)
・『つくりかたをつくろう』2:49:03
・『八ヶ岳のアートコモンズ「対話と創造の森」からのメッセージ』5:19:15
 
 
 

創造的に食生活を変える



「世界を変える(肉好きのための)一週間のフルコース」終了後に企画者の武井、福井とトラウデン直美、LOVE、筆者。
 
気候危機だ、地球温暖化だと言われても具体的に何をしたらいいかわからないという人に、実は一番身近に行動に移せて効果も大きいのは、食生活から変えることだ。昨年発売された世界の科学者による調査をまとめた書籍『DRAWDOWN―地球温暖化を逆転させる100の方法』*でも、1位の冷媒、2位の風力発電に続いて、3位にフードロス、4位に菜食中心食生活への転換が食い込んでいる。
 
UoCの第一期ゼミ「サステナブルクリエイティビティ実践編」でもDRAW DOWNワークショップを行い、そこから生まれたプロジェクトの一つが『世界を変える(肉好きのための)一週間のフルコース』だ。詳細はアーカイブ映像を見て頂きたいが、簡単に言えば、6日間を菜食中心で過ごし、最終日に極上の肉を味わうという1週間のフルコース(我慢しした分、最終日に肉をこれまでにないほど美味しく味わえるだけでなく、結果的に温暖化に影響の大きい肉食を減らすことができる)。

 
「世界を変える(肉好きのための)一週間のフルコース」

当日はこのフルコースを実際に体験頂いたモデルのトラウデン直美さんをお招きし、シンガーソングライターのLOVEさんと共に体験映像を紹介しながら、その感想やあまり知られていない食と地球、美容との関係について話したほか、レストラン「WE ARE THE FARM」のシェフにメニューの一部をつくってもらい試食体験も行った。「世界を変える(肉好きのための)一週間のフルコース」は赤坂店で実際に提供中。
 
地球温暖化に向けて、まずは日々の食生活から変えてみませんか?
 
 
 

地域、障害者、多様性を創造的につなぐ



 『赤坂未来妄想』

近代が個人を軸とした競争の時代だとしたら、これからは多様な個人が生かしあい、協働する時代だ。ニコラス・クリスタキス著の『ブループリント:『よい未来』を築くための進化論と人類史』によれば、私たち人類は進化の過程で「仲間」を愛し、尊重する能力を身につけたのであり、人類の遺伝子にはそうした分断を乗り越え、「協力」する普遍的特性が組み込まれている。この日登壇頂いた落合陽一さんの言葉で言えば、ネットワークでつながった自立共生する多様なサピエンスが饗宴を楽しむ「HOMO COVIVIUM」な時代なのだ。
 
「We are All Born Creative」を理念とするUNIVERSITY of CREATIVITYが赤坂で目指すのも、1人の天才クリエイターがマスタープランをつくるのではなく、地域の歴史や文化、人などの多様な資源を生かし、つなぎ、循環させていくことだ。

『赤坂未来妄想』では、2028年赤坂再開発に関わるTBSの横断チームとUoCメンバー、赤坂氷川神社や地域の企業や商店街、港区区議会議員などが垣根を越えて一緒になり、まずは赤坂という街の魅力や可能性を話すところから始めた。働く場だけでなく、生活する人と一緒に街の多様な資源を生かしていく協働がはじまっている。
 
また、多様性と創造性をつなぐフロンティアと言えるのが、今年のパラリンピックでも注目された、障害のある方々の持つ個性や才能だ。『つくりかたをつくろう』では、重度の知的障害のある4歳上の兄を持ち、双子の兄弟で障害のあるアーティストの作品を多様なビジネスにつなげるヘラルボニー代表の松田崇弥さんを迎えて開催された。障害者・健常者という分断を越え、いかに新たな価値を産み出せるか。「ちがいを ちからに 変える街」というのは渋谷区のスローガンだが、この日のセッションで話題となった障害者との音楽制作を含め、「ダイバーシティx創造性」には大きな可能性が広がっている。


つくりかたをつくろう
 
 

創造性でゴミを「資源」として活用する



「Circular Creaitivity Lab.」

「ゴミとはデザインの失敗である」とは、UoCで地球講義をした文化人類学者、竹村真一さんから聞いた言葉だが、自然界にはゴミは存在しない。すべてが有機的につながり、循環している。一方、人間界は「ゴミ」を大量に生み出す直線的な経済を発展させてきて、近年話題となっているフードロス、プラゴミ、産業廃棄物など、その量は増えるばかりだ。
 
こうした直線的な経済から循環型のサーキュラーエコノミーへの移行が始まっているが、創造性によってそれを推進していこうというのが『Circular Creaitivity Lab.』だ。今回は事前に5つの企業・団体の電車車両部品や廃太陽光パネル、サーフィン廃材などの廃棄物を「ゴミ」ではなく「資源」として活用するデザイン・仕組み・ビジネスのアイデアを募集。提供企業やデザイナー、建築家、クリエイティブディレクター、TBS、商店街振興組合、港区議会議員など越領域のカタリストとの審査、この日の発表・ディスカッションを経て、赤坂の街での実装に向けた取り組みが始まっている。
 

セッション「Circular Creaitivity Lab.」終了後の登壇者たち


Circular Creative Lab.受賞アイデア発表

廃材活用の日本における先駆的事例と言えるのが、長野県諏訪市にある通称「リビセン」こと「Rubilding Center JAPAN」だ。UoC特別野外授業と題してして開催された『Rebuild New Culture~触りたくなる未来をつくろう』では、代表の東野さんがリビセンが廃材を販売するだけでなく、その活用法を教えるワークショップも行っていることなどが紹介された。多様な廃材という異物を組み合わせてストーリーを生む新たなカルチャーが始まっている。
 

『Rebuild New Culture~触りたくなる未来をつくろう』
 
 
 

日本独自の自然観とテクノロジー、都市と地方の循環


ここまで紹介したサステナビリティをめぐる様々な取り組みは、実は日本人がもともと持っていた自然観に現代の感性と創造性を掛け合わせ、アップデートしたものだとも言える。
 
WHY CREATIVITY ?』でもUoC主宰の市来健太郎が、AI時代にますます大切になる人間の創造性という資本について、その源となる日本独自の自然観や美意識とテクノロジーによる人間と自然との融合に言及。UoCが目指しているのはそうした産官学・文理芸など越領域の創造性が出会うことで生まれる「美しいカオス」なのだ。
 
八ヶ岳山麓の麓、約1600 坪の森に今年11月にオープンしたばかりの「対話と創造の森」もそんな日本独自の自然観を見直し、新たな創造を生み出していくためのアートコモンズだ。主宰の新野圭二郎と中継でつないだセッション『八ヶ岳のアートコモンズ「創造と対話の森」からのメッセージ」では、約2.4mx8mのチタンの大鏡が設置された人と自然、人と人が対話するための「光の対話場」で目指す「公共創造」について熱く対話。ここからも自然と人間、都市と地方の新たな循環が始まろうとしている。


『八ヶ岳のアートコモンズ「創造と対話の森」からのメッセージ』
 
 
メディアアーティストの落合陽一さんを招いて開催された『HOMO COVIVIUM~自然のテックと人間のゆくえ』は、京都の醍醐寺で切り株の上にデジタルな木を接続したインスタレーションの映像から始まった。自律共生や饗宴を意味する「CONVIVIUM」、南方熊楠やジョン・ケージも傾倒した「キノコ」をメタファーに、人間の知性が培ってきたアーキテクチャーをAIに譲り、ネットワークされて生きる人間の未来について対話が行われた。
 

「HOMO COVIVIUM~自然のテックと人間のゆくえ」
 
 
 

New Earth Mandala〜本気の3.5%が世界を変える


DAY3の最後のセッションでは、『New Earth Mandala ~本気の3.5%が世界を変える』をテーマに、音楽、ファッション、メディアアート、ソーシャルビジネスなど様々な分野で環境問題に向けて「本気」で取り組んでいるカタリストを招き、彼らの活動や本気スイッチが入った瞬間、その先に見ている未来について話を聞いた。
 

 
「3.5%」という数字は、3.5%の人々が非暴力的な手法で本気で動き出すことによって社会システムを変えられることを実証的に示したハーヴァード大学のエリカ・チェノウェスの研究*を元にしたものだ。
 



元パタゴニア日本支社長で社会活動家・ソーシャルビジネスコンサルタントの辻井隆行さん、モデルの長谷川ミラさん、歌手・アーティストのコムアイさん、メディアアーティストの落合陽一さん、音楽家の大沢伸一さん、ミュージシャン、「循環」編集長の新羅慎二さん、UoCの市耒 健太郎、近藤ヒデノリが参加した「New Earth Mandala」。セッション後には新羅慎二さんのスペシャルライブも行われた。


「人新世」「グレートリセット」「大転換の時代」と言われ、便利・効率性だけを求めて発展してきた文明が限界を迎えるなかで、この日参加頂いたカタリストのように、自分のいる場所、業界の古い慣習にとらわれずに、自分のできること、得意なことを活かして動き出す人が続々増えている。創造性によってこれまでのライフスタイルやカルチャーを書き換える「本気」の活動の渦は、日本各地で、世界で、確実に大きくなろうとしている。
 

セッション最後に行われた新羅慎二さんのスペシャルライブ。「応援歌」の後にオリジナルの「あきらめ節」という選曲に込められた若旦那の渾身のメッセージも最高だったので、ぜひ聴いてほしい。


問題が大きくて、複雑に絡み合っているからこそ、大事なのは多様な個の創造のパワーを活かした協働・共創であり、その源となるのは、一人ひとりの情熱、熱量だ。この日の最後に行われたスペシャルライブでの熱唱で、あらためてそれを体感させてくれた若旦那こと、ミュージシャンの新羅慎二さんに、そして参加頂いたすべてのみなさまに感謝したい。個人的にも、若旦那の歌をみんなで聴いていた時間が、この日UoCで伝えたかったすべてを凝縮したような幸せなモーメントだった。
 
この世界をどこかキュークツに感じながら、傍観者として見過ごすのか。
一歩踏み出して、ハッピーな社会を共につくる「3.5%」の仲間になるのか。
ワクワクする楽しい革命は、すでに始まっている。
さぁ、仲間に入ろうよ。
 
We are ALL Born Creative.



CREATIVITY FUTURE FORUM アーカイブはこちら

[DAY1]BUSINESS FUTURE 全9セッション
[DAY2]TECH FUTURE 全9セッション
[DAY3]EARTH FUTURE 全12セッション
[DAY4]Z FUTURE 全9セッション


*1 ポール・ホーケン (著), 江守 正多 (翻訳), 東出 顕子 (翻訳)『DRAWDOWN―地球温暖化を逆転させる100の方法』
*2 ニコラス・クリスタキス著の『ブループリント:『よい未来』を築くための進化論と人類史』
*3 David Robson, The '3.5% rule': How a small minority can change the world, Future Now, 14 May 2019.

Catalyst
img
近藤 ヒデノリ
PRESS 共同編集長/サステナビリティ研究領域フィールドディレクター/クリエイティブプロデューサー

CMプランナーを経て、NYU/ICP(国際写真センター)修士課程で写真と現代美術を学び、9.11を機に復職。近年は「サステナブルクリエイティビティー」を軸に様々な企業・自治体・地域のブランディングや広報、商品・メディア開発、イベントや教育に携わり、2020年に創造性の研究実験機関 UNIVERSITY of CREATIVITY(UoC)サステナビリティフィールドディレクターに就任。ゼミ「SUSTAINABLE CREATIVITY」実践編・探究編ほか、「Tokyo Urban Farming」「Circular Creativity Lab.」を主宰し、領域を越えて持続可能な社会・文化をつくる創造性の教育・研究・社会実装を行っている。 編共著に『INNOVATION DESIGN-博報堂流、未来の事業のつくりかた』、『都会からはじまる新しい生き方のデザイン-URBAN PERMACULTURE GUIDE』等。「Art of Living」をテーマとした地域共生の家「KYODO HOUSE」主宰。グッドデザイン賞審査員(2019年[取り組み・活動部門、フォーカスイシュー[地域社会デザイン]、2020年[システム:ビジネスモデル部門])他、審査員・講演多数。湯道家元で元バックパッカー、ハンモックとサウナとお酒が好き。

Read More